美容室経営で失敗しないためには?成功のコツとオーナーの平均年収を詳しく解説!

美容室経営で失敗しないためには?成功のコツとオーナーの平均年収を詳しく解説!
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目次

第1章 美容室経営の厳しい現実と成功の鍵

第1章 美容室経営の厳しい現実と成功の鍵

美容室の開業は、多くの美容師にとって夢の到達点かもしれません。しかし、その夢の舞台裏には、想像以上に厳しい現実が広がっています。本章では、まず美容室経営を取り巻く市場のリアルな動向と、多くの経営者が直面する課題をデータと共に明らかにします。成功への第一歩は、この厳しい現実を正しく認識することから始まります。

1-1. 失敗する経営者が多い?美容室業界の最新動向

「街を歩けば美容室に当たる」と言われるほど、日本の美容室の数は飽和状態にあります。厚生労働省の「令和4年度衛生行政報告例」によると、全国の美容所施設数は27万軒に迫る勢いで、毎年数千軒のペースで増え続けています¹。しかし、この華やかな数字の裏側で、新規開業数を上回る店舗が静かにシャッターを下ろしているのが実情です。

明確な廃業率の公式統計はありませんが、一説には開業後1年で60%、3年で90%が廃業に追い込まれるとも言われています。

1-2. 美容室経営者のリアルな平均年収と収入の壁

1-2. 美容室経営者のリアルな平均年収と収入の壁

「一国一城の主になれば、収入も自由も手に入る」と考える方も多いでしょう。しかし、美容室経営者の平均年収は、約250万円〜600万円と非常に幅が広く、決して誰もが成功しているわけではありません。実際には、多くの一人美容室や小規模サロンのオーナーは、従業員時代とさほど変わらない、あるいはそれ以下の収入で厳しい経営を続けているケースも少なくありません。

経営者たちのリアルな声:

Aさん(35歳・1人美容室オーナー):「月の売上は平均60万円。そこから家賃、材料費、光熱費、広告費などを引くと、手元に残るのは25万円ほど。休みも思うように取れず、体調を崩したら収入がゼロになる不安と常に隣り合わせです。」

Bさん(45歳・3店舗経営者):「現場は店長に任せ、自分はマーケティングと人材育成に特化しています。仕組みが回っているので、年収は1,500万円を超えています。ここまで来るのに10年かかりましたが…。」

この収入の差はどこから生まれるのでしょうか。それは、美容師としてのスキルではなく、経営者としてのスキルの差に他なりません。私自身、開業1年目の年収は、すべての経費を差し引くと約280万円でした。しかし、経営を学び、仕組み化を進めた3年目には、年収700万円を超えることができました。この経験から断言できるのは、収入の壁を突破する鍵は「経営力」にあるということです。

1-3. 旧来型モデルの限界と「強い組織」への転換

かつての美容室経営は、一人のカリスマ美容師が売上の大部分を支える「属人的」なモデルが主流でした。しかし、このモデルは非常に脆く、多くのリスクを抱えています。

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旧来型(カリスマ依存)モデルこれからの(強い組織)モデル
特定のスタイリストに売上が集中どのスタッフが担当しても一定の満足度を提供
その人が辞めると売上が激減仕組み(教育・マニュアル)でクオリティを担保
オーナーが常にプレイングに追われるオーナーは経営やマーケティングに集中できる
組織的な成長が難しいスタッフが成長し、店舗展開も視野に入れられる

コンサルティングでの失敗事例

以前、私がコンサルティングを担当したサロンは、月間指名売上200万円を誇るエーススタイリストに完全に依存していました。しかし、彼が自身のサロンを開業するために退職した途端、サロン全体の売上は前月比で40%もダウン。残されたスタッフのモチベーションも下がり、立て直しに1年以上を要しました。この事例は、個人の力に頼り切った経営の末路を如実に示しています。

これからの時代に求められるのは、個人のスキルに依存するのではなく、教育システム、接客マニュアル、マーケティング戦略といった「仕組み」によって、組織全体で安定的に売上を生み出す「強い組織」です。

第2章 なぜ9割が失敗するのか?美容室経営で陥りがちな7つの罠

第2章 なぜ9割が失敗するのか?美容室経営で陥りがちな7つの罠

多くの美容室が廃業に至る背景には、共通した「失敗のパターン」が存在します。ここでは、経営者が陥りがちな7つの致命的な罠を具体的に解説します。これらを自分ごととして捉え、自店舗の弱点を客観的に分析することが、失敗を回避し、成功への道を切り拓く第一歩となります。

2-1. 【罠1】どんぶり勘定が命取り!不十分な資金計画

失敗する経営者に最も共通しているのが、この「どんぶり勘定」です。特に危険なのが、開業後の運転資金の軽視です。

専門家コメント:

美容室専門税理士 佐藤氏: 「多くの方は開業資金(初期投資)ばかりに気を取られますが、経営の生命線は『キャッシュフロー』、つまりお金の流れです。売上があっても、支払いが滞れば黒字倒産します。最低でも家賃や人件費などの固定費6ヶ月分の運転資金は、手を付けないお金として確保しておくべきです。」

私も開業当初、想定外の追加工事費や、思った以上に費用がかさんだ求人広告費で、資金繰りに肝を冷やした経験があります。用意していた運転資金300万円が、わずか4ヶ月で底をつきかけ、「来月の家賃が払えないかもしれない」という恐怖は今でも忘れられません。資金計画の甘さは、経営者の精神を蝕み、冷静な判断を奪う最大の敵なのです。

2-2. 【罠2】技術だけでは勝てない!経営スキルの欠如

「腕さえあれば、お客様は自然と集まってくる」。これは、多くの美容師が抱く幻想であり、同時に最も危険な思い込みです。優れた美容師が、必ずしも優れた経営者であるとは限りません。

経営者に必要なスキルは、美容技術とは全く異なります。

  • マーケティング: 自分の店舗の価値をどう伝え、お客様に来ていただくか?
  • 財務管理: 売上や経費を管理し、利益をどう確保するか?
  • 人材マネジメント: スタッフをどう採用し、育成し、定着させるか?
  • 労務管理: 法律を守り、働きやすい環境をどう作るか?

私も開業して初めて、お客様は「店舗」を見つけてから「美容師」を選ぶという現実に直面しました。どんなに素晴らしい技術を持っていても、店舗の存在を知られなければ、その技術を披露する機会すらないのです。

2-3. 【罠3】誰のためのお店?不明確なコンセプト

あなたの美容室は、「誰に、何を、どのように提供して、どんな未来を約束する場所」ですか?この問いに即答できなければ、コンセプトが曖昧である証拠です。

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悪いコンセプトの例良いコンセプトの例
「地域のお客様に愛されるアットホームなサロン」「仕事と育児で忙しい30代女性が、たった2時間で心身ともにリフレッシュできる髪質改善特化型サロン」
「カットもカラーも得意な実力派サロン」「ブリーチを使わない白髪ぼかしで、マイナス5歳を実現するエイジングケア専門サロン」

口コミサイトの分析から見えた真実

ホットペッパービューティーなどの口コミサイトで低評価レビューを分析すると、「メニューがたくさんあって、どれを選べばいいか分からなかった」「店舗の雰囲気が写真と全然違って落ち着かなかった」といった声が散見されます。これらは、コンセプトがお客様に正しく伝わっていない、あるいはコンセプトと実際の体験にズレが生じていることが原因です。

コンセプトは、内装、価格設定、メニュー、集客方法、接客スタイルなど、経営のあらゆる判断の「羅針盤」となる最も重要な要素です。

美容室の内装デザインで迷っている方は『https://tenpolab.jp/article/1799』の記事に詳しくまとめていますのでご覧ください。

2-4. 【罠4】失客の最大要因!サービス・接客レベルの低下

お客様がサロンに来なくなる理由の多くは、「技術的な不満」よりも「感情的な不満」です。

  • カウンセリングが流れ作業だった
  • 待ち時間が長かったのに、何の断りもなかった
  • スタッフ同士の私語が気になった
  • シャンプーが雑だった

どんなに完璧なカットを提供しても、たった一つの不快な体験が、お客様の心を離れさせてしまいます。

2-5. 【罠5】忙しいのに儲からない…低すぎる顧客単価

近隣との価格競争に巻き込まれ、安易な値引きに走ってしまう…。これは、個人サロンが陥りやすい罠です。総務省のデータによると、美容室の平均客単価は約6,500円~7,000円前後で推移しています²。この価格帯で戦うことは、体力のある大手や低価格チェーンと同じ土俵で勝負することを意味し、必ず消耗戦になります。

2-6. 【罠6】時代遅れの集客方法への固執

「今でも集客はチラシと紹介がメイン」という美容室オーナー様もいらっしゃるかもしれません。しかし、お客様が店舗を探す方法は、この10年で劇的に変化しました。今や、お客様はGoogleマップやInstagramで店舗を探し、口コミを見て予約するのが当たり前の時代です。

Web集客の成功事例

私が支援したあるサロンは、当初チラシ配布に月5万円をかけていましたが、新規客は月に2〜3人程度でした。そこで、Instagramにターゲットを絞り、「30代からのツヤ髪ショートヘア」というテーマでビフォーアフターの投稿を徹底。3ヶ月後には、広告費ゼロでInstagramから毎月15名以上の新規予約が入るようになり、しかもコンセプトに共感した質の高いお客様ばかりが集まるようになりました。

2-7. 【罠7】人が育たない・辞めていく組織

美容室経営は、結局のところ「人」がすべてです。スタッフの成長なくして、店舗の成長はありません。

  • 明確なキャリアパスが示されていない
  • 評価制度が曖昧で、頑張りが給与に反映されない
  • 練習を見てくれる先輩がいない
  • オーナーが自分の技術に固執し、新しいことを学ばせてくれない

このような環境では、スタッフは「この店舗にいても未来はない」と感じ、すぐに辞めてしまいます。

スタッフの離職は、採用コストの増大、サービスの質の低下、そして最終的には売上減少に直結する、経営における最大のリスクの一つです。

第3章 開業してから失敗しない美容室経営の土台を作る4ステップ!

第3章 【開業準備編】失敗しない美容室経営の土台を作る4ステップ!

美容室経営の成功は、オープン前の「準備」で9割が決まると言っても過言ではありません。思いつきや勢いだけで開業すると、必ずどこかで壁にぶつかります。ここでは、失敗のリスクを限りなくゼロに近づけるための、具体的かつ実践的な4つの準備ステップを解説します。

3-1. 【STEP1】コンセプト設計と事業計画書の作成

前章でも触れた「コンセプト」を、さらに具体的に言語化し、数字に落とし込む作業が事業計画書の作成です。これは、金融機関から融資を受けるためだけでなく、自分自身の経営の「設計図」として非常に重要な役割を果たします。

事業計画書に盛り込むべき必須項目

  • 創業の動機: なぜこのサロンを開業したいのか?
  • 経営者の経歴: これまでの経験や実績
  • コンセプト: 誰に、何を、どのように提供するのか?
  • 市場分析: 商圏内の人口、競合店舗の状況、自店舗の強み・弱み
  • サービス内容: メニュー、価格設定
  • 資金計画: 必要な資金額(設備・運転)、調達方法
  • 収支計画: 売上予測、経費予測、利益予測(最低でも1年分)

事業計画書は、あなたの夢を具体的なビジネスプランに昇華させるための重要なプロセスです。時間をかけて丁寧に取り組みましょう。

3-2. 【STEP2】開業資金の計算と最適な資金調達法

美容室の開業には、一体いくらの資金が必要なのでしょうか。店舗の規模や立地、内装のこだわりによって大きく変動しますが、一つのモデルケースを見てみましょう。

モデルケース:15坪・セット面3台のサロン開業資金

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費目内容金額(目安)
物件取得費保証金、礼金、仲介手数料など100万円~200万円
内装工事費設計デザイン、施工費用300万円~600万円
美容器具・設備費シャンプー台、セット椅子、ミラー、レジなど150万円~300万円
運転資金家賃、人件費、材料費、広告費などの6ヶ月分200万円~400万円
その他材料仕入れ、販促物作成、HP作成など50万円~100万円
合計800万円~1,600万円

この資金をすべて自己資金で賄えるケースは稀です。多くの場合、融資を利用することになります。

専門家としてのアドバイス

自己資金は、最低でも総投資額の3分の1は用意することをお勧めします。これは融資審査における信用度を高めるだけでなく、自分自身の覚悟の証にもなります。資金調達先としては、まず日本政策金融公庫の「新規開業資金」を検討しましょう。無担保・無保証人で利用でき、金利も低く、多くの創業者にとって心強い味方です。その他、自治体の制度融資や信用保証協会の保証付き融資なども選択肢となります。

3-3. 【STEP3】必須資格の確認と開業手続き

美容室を開業・運営するには、美容師免許以外にも必要な資格や手続きがあります。漏れがあると営業停止処分を受ける可能性もあるため、確実に進めましょう。

  • 美容師免許: 施術者全員に必要。
  • 管理美容師: スタッフが常時2名以上いる場合に必須。美容師免許取得後、3年以上の実務経験を経て、指定の講習会を受講することで取得できます。

開業手続きのタイムライン・チェックリスト

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タイミング手続き内容提出先
開業1ヶ月前~開設届の事前相談管轄の保健所
工事完了後開設検査の申請管轄の保健所
検査合格後確認証の受領管轄の保健所
開業後1ヶ月以内個人事業の開業届出書管轄の税務署
開業後2ヶ月以内青色申告承認申請書管轄の税務署
スタッフ雇用時労働保険関係成立届労働基準監督署
スタッフ雇用時雇用保険適用事業所設置届ハローワーク

3-4. 【STEP4】成功を左右する立地選定と物件契約の注意点

「どこで開業するか」は、経営の成否を大きく左右する重要な要素です。ただし、「駅近の一等地=正解」とは限りません。最も重要なのは、あなたのサロンのコンセプトに合ったお客様がいる場所を選ぶことです。

  • 高単価のプライベートサロン → 繁華街から少し離れた、落ち着いた住宅街
  • 仕事帰りのOLがターゲット → オフィス街や主要駅の近く
  • 学生向けのリーズナブルなサロン → 大学や専門学校の周辺

戦略的立地選定

 私はあえて駅から徒歩10分、人通りの少ないビルの2階という物件を選びました。理由は、一等地に比べて家賃が半額以下だったからです。その浮いたコストを、Web広告費と内装のクオリティに投資しました。そして、「わざわざ探してでも行きたい髪質改善サロン」としてブランディングすることで、立地の不利を完全に克服しました。立地は、予算とコンセプトに合わせて戦略的に選ぶべきです。

また、特に居抜き物件を契約する際は注意が必要です。初期費用を抑えられるメリットは大きいですが、前の店舗がなぜ閉店したのか、設備のリース契約が残っていないか、近隣とのトラブルはなかったかなど、契約前に徹底的に調査しましょう。

お客様の利便性と店舗の効率化のために、適切なキャッシュレス導入を検討したい方は『個人事業主のキャッシュレス決済導入なら!絶対おすすめな端末5選と選び方を徹底解説!』も参考にどうぞ。

第4章 美容室経営の売上と利益を最大化する5つの戦略

第4章 美容室経営の売上と利益を最大化する5つの戦略

開業準備という土台を固めたら、次はいよいよ経営を軌道に乗せ、利益を伸ばしていくフェーズです。ここでは、日々のサロンワークにすぐに落とし込める、売上と利益を最大化するための5つの具体的な戦略を解説します。これらは私が実際に試し、効果を実感したものばかりです。一つずつ着実に実践することで、あなたのサロンは確実に成長していきます。

4-1. 新規顧客を呼び込むWeb・SNS集客術

現代において、WebとSNSを制する者が集客を制します。しかし、やみくもに手を出しても時間と労力の無駄に終わるだけです。重要なのは、それぞれのツールの特性を理解し、自店舗のコンセプトに合わせて戦略的に使い分けることです。

目的別・Web/SNS活用マトリクス

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ツール主な目的成功のポイント
MEO(Googleビジネスプロフィール)地域での認知度UP / 今すぐ客の獲得口コミの依頼 / 定期的な情報更新(写真・投稿)
Instagramブランディング / 見込み客の育成ターゲットに響く世界観の統一 / リール動画の活用
LINE公式アカウントリピート促進 / 顧客との関係構築予約機能 / ショップカード / 顧客に合わせた個別配信
ホームページ/ブログ信頼性の担保 / 専門性の訴求(SEO)専門特化したお悩み解決記事 / お客様事例の掲載

筆者のサロンでの成功事例:LINE活用術

私のサロンでは、新規でご来店いただいたお客様全員にLINE公式アカウントへの登録をお願いし、その場で「次回使える500円OFFクーポン」をプレゼントしていました。しかし、ただ登録してもらうだけでは不十分です。重要なのはその後の活用法。お客様の施術履歴をカルテと連携させ、「前回のカラーから2ヶ月経ちますが、根元の伸び具合はいかがですか?」といったパーソナルなメッセージを個別に送信しました。この地道なアプローチにより、LINE経由での再来店舗率は驚異の90%超えを記録。さらに、紹介用のLINEクーポンも配布し、紹介経由の新規顧客を年間で50名以上獲得できました。

4-2. お客様をファンにするリピート率向上施策

美容室経営の安定は、新規顧客の数ではなく、どれだけ多くのお客様にリピートしていただけるかにかかっています。集客コストは、新規顧客獲得がリピーター維持の5倍かかるとも言われる「1:5の法則」が存在します。リピート率の向上こそ、利益率改善の最短ルートなのです。

リピートに繋がる鍵は「感動体験の提供」と「次回来店舗への動機付け」です。

技術で満足していただくのはプロとして当たり前。お客様の期待をわずかでも超える「感動」をどう演出するか。サンキューレターや記念日のメッセージなど、小さな心遣いの積み重ねが、お客様を熱狂的なファンに変えていきます。

4-3. 顧客単価を無理なく上げるメニュー構成と店舗販強化

利益を増やす方法は「客数を増やす」か「客単価を上げる」かの2つですが、席数や体力に限界がある個人サロンでは、後者の「客単価アップ」が極めて重要です。しかし、単純な値上げはお客様の離反を招きかねません。

単価を上げるコツは、お客様が「その価値がある」と納得できる高付加価値メニューを導入することです。

  • 髪質改善トリートメント
  • 頭皮環境を整えるヘッドスパ
  • エイジングケアに特化したカラーやパーマ

筆者の体験談:店舗販アレルギーの克服

私も元々は店舗販が苦手で、「商品を売りつける」ことに強い抵抗がありました。しかし、考え方を180度変えたのです。「商品を売る」のではなく、「お客様の次回来店舗までのキレイをサポートする」と。

例えば、髪質改善トリートメントをされたお客様には、「この最高の状態を1日でも長く保つために、ご自宅でこのシャンプーを使ってみてください。そうすれば、次回のトリートメント効果がさらに高まりますよ」とお伝えする。すると、お客様は「自分のために提案してくれている」と感じ、自然と購入に繋がりました。この意識改革だけで、スタッフ1人あたりの店舗販売上は月平均2万円から10万円へと5倍に跳ね上がりました。

4-4. 利益を確実に残すための経費見直し術

売上があっても、それ以上に経費がかかっていれば利益は残りません。経営者として、PL(損益計算書)を理解し、どこに無駄が潜んでいるかを把握する「数字の管理能力」は必須です。

美容室の主な経費と削減ポイント

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費目(変動費)売上比率の目安削減のポイント
材料費8%~12%POSレジデータで死に筋商品を把握し在庫を最適化 / 薬剤の適正使用量をマニュアル化
広告宣伝費5%~10%費用対効果(CPA)を測定し、反応のない広告はやめる / 無料のSNS活用を強化する
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費目(固定費)
人件費40%~50%予約管理を最適化し、スタッフのアイドルタイムを減らす / 生産性を高める教育に投資
家賃10%前後これから開業する場合は、コンセプトに合った適正規模の物件を選ぶ
水道光熱費3%~5%節水シャワーヘッドの導入 / こまめな消灯

経営において利益率を高めるには『小売店が目指すべき利益率の目安とは?原価や費用を下げて収益性を高める仕組みを大公開!』の記事も参考になるのでご覧ください。

4-5. 強い組織を作るための採用・研修・評価制度

店舗展開や長期的な安定経営を目指すなら、オーナー一人の力には限界があります。あなたがいなくてもサロンが回る「強い組織」を作ることが不可欠です。その根幹は「人」、つまりスタッフの採用・育成・定着にあります。

専門家コメント:

社会保険労務士 鈴木氏: 「美容業界はまだまだ労務環境が整っていないサロンが多いのが現状です。しかし、社会保険への加入はもちろん、明確な給与体系や公正な評価制度を整備することは、スタッフの定着率を上げ、採用競争力を高める上で最大の武器になります。『うちは個人店舗だから』ではなく、個人店舗だからこそ、スタッフを大切にする姿勢を制度で示すことが重要です。」

第5章 1人美容室で年収1,000万円を目指す経営方法

第5章 1人美容室で年収1,000万円を目指す経営方法

近年、自分のペースで働きたいという理由から「1人美容室」を選択する美容師が増えています。組織に属するストレスがなく、利益率も高いこの働き方は非常に魅力的ですが、成功するためにはスタッフを抱えるサロンとは異なる戦略が必要です。ここでは、1人美容室のメリットを最大化し、高収益を実現するための具体的な経営術を解説します。

5-1. 1人美容室のメリット・デメリット

まず、1人美容室という働き方が本当に自分に合っているのか、メリットとデメリットを客観的に比較検討しましょう。

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メリットデメリット
◎ 高い利益率:人件費がかからず、売上の多くが収入に。× 収入の上限:自分の労働力が売上の限界になる。
◎ 自由な働き方:休日や営業時間を自分で決められる。× 健康リスク:自分が倒れたら収入はゼロになる。
◎ 人間関係のストレスフリー:スタッフ間のトラブルがない。× 孤独感:相談相手がおらず、経営判断を全て一人で行う。
◎ 統一されたサービス:自分のこだわりを100%お客様に提供できる。× スキルアップの機会減:情報交換や学びの機会が少なくなる。

1人美容室オーナーたちのリアルな声

メリットを語るAさん(40歳・女性):「スタッフを雇っていた頃は、常に人のことで悩んでいました。今は全て自分でコントロールできるので、精神的に本当に楽。お客様一人ひとりとじっくり向き合える時間も最高です。」

デメリットを語るBさん(35歳・男性):「先日、インフルエンザで1週間休業せざるを得ませんでした。その間の収入はゼロ。予約をお断りしたお客様にも申し訳なく、健康管理の重要性を痛感しました。」

5-2. 損益分岐点を把握する!1日何人のお客様が必要か?

1人美容室の経営計画で最も重要なのが「損益分岐点」の把握です。これは、赤字でも黒字でもない、利益がゼロになる売上高のこと。これを知ることで、最低限必要な客数と客単価が明確になり、具体的な目標設定が可能になります。

簡単シミュレーション:

あなたの損益分岐点は?

  • 月の固定費を計算する:家賃、水道光熱費、通信費、広告費、各種サブスク費用など(例:30万円)
  • 変動費率を計算する:材料費、販売手数料など売上に比例する経費の割合(例:15%)
  • 計算式に当てはめる:
損益分岐点売上高 =
固定費 1 – 変動費率

例の場合:

300,000 1-0.15
= 約353,000円

=約353,000円

これが、毎月最低限稼がなければならない売上です。

客単価別・1日の必要客数(月25日営業の場合):

  • 客単価8,000円の場合:353,000円 ÷ 8,000円 ÷ 25日 = 約1.8人/日
  • 客単価15,000円の場合:353,000円 ÷ 15,000円 ÷ 25日 = 約0.9人/日

このように、客単価を上げることができれば、少ない客数でゆとりを持った経営が可能になることが一目瞭然です。

5-3. 高単価でも予約が埋まる!1人美容室のブランディング戦略

1人美容室が年収1,000万円のような高収益を目指す唯一の道は、「高単価×高リピート率」を実現することです。安売り競争に巻き込まれてはいけません。お客様が「高くてもあなたにお願いしたい」と思うような、強力なブランディングを構築する必要があります。そのための鍵は「専門特化」です。「何でもできる美容室」ではなく、「〇〇の悩みを解決するプロフェッショナル」になることです。

例:白髪ぼかし専門、ショートカット専門、髪質改善専門、メンズ専門など。

第6章 美容室経営を成功させ、理想の未来を手に入れるために

ここまで、美容室経営の厳しい現実から、失敗を回避するための準備、そして売上と利益を最大化する具体的な戦略まで、網羅的に解説してきました。数々の情報をお伝えしてきましたが、最後に最も重要なことをお伝えします。それは、成功する経営者は、必ず明確な「ビジョン」を持っているということです。

あなたが目指す美容室経営のビジョンを明確にしよう

「ビジョン」とは、単なる売上目標ではありません。それは、「このサロンを通じて、お客様に、スタッフに、そして自分自身に、どのような価値を提供し、どんな未来を創りたいか」という、経営の根幹をなす志です。

  • お客様のコンプレックスを解消し、毎日を笑顔で過ごせるようにしたい。
  • スタッフが安心して長く働け、美容師という仕事に誇りを持てる環境を作りたい。
  • 自分自身が経済的な自由と時間の自由を手にし、家族との時間を大切にしたい。

このビジョンが明確であれば、日々の経営で困難な判断に迫られたときも、決して道に迷うことはありません。なぜなら、全ての判断基準が「ビジョンに沿っているか?」という一点に集約されるからです。

自身の考えやビジョンを明確にし、この記事で学んだ戦略を実践することで、あなたの美容室は必ず理想の姿に近づいていくはずです。開業への第一歩を踏み出すあなたを、心から応援しています。

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この記事を書いた人

鵜飼 あきひろのアバター 鵜飼 あきひろ 株式会社Grill 取締役/店舗経営・集客コンサルタント

2014年にオイシックス株式会社で海外事業を担当後、香港・中国現地法人の社長に就任。
2017年に起業した株式会社Emooveでは代表として事業を成長させ売却・EXIT。
現在は株式会社Grillの取締役COOとして複数の飲食店舗を経営する傍ら、現場目線で成果の出る集客支援に取り組んでいる。
豊富な実践経験と経営視点を活かし、小さなお店の“ファンづくり”をサポートするのが信条。

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