第1章 店舗の入口や外観はなぜ重要なのか?

1-1. 「店舗の入り口に求められるデザインとは?」
飲食店をはじめ、あらゆる店舗にとって入口と外観は“お店の顔”といえます。第一印象が良ければ、通りすがりのお客様にも「ちょっと入ってみようかな」という気持ちを芽生えさせることができます。一方で、入り口が分かりづらかったり、外観が古びて見えるようなお店はどうしても敬遠されがちです。
ここで意識したいのは、デザインの美しさだけではなく、機能面にも配慮しているかどうか。例えば、「扉の配置」や「看板の設置位置」を工夫していないと、入店したいのに入口を見失うこともあり得ます。お店にとって必要なのは、お客様がスムーズに動ける設計と、明確なコンセプトを感じ取れるレイアウトです。
この1-1では、なぜ入り口と外観が重要なのか、その理由をまず押さえておきましょう。入口をデザインする際に何をポイントにすれば良いのかを理解することで、実際の設計段階での迷いを減らせます。ターゲットとなる客層や業態に合わせて、最適な入口づくりを目指したいところです。
1-2. 飲食店の外観はなぜ重要なのか?
飲食店の外観は、他業種の店舗に比べても特に「雰囲気」や「清潔感」が重視されます。どんなに美味しい料理を提供していても、外から見た印象が悪ければ、お客様はなかなか入店しようと思わないのです。
例えば、ラーメン屋やカフェなど、業態ごとに異なるターゲット層が存在します。女性を意識するならスタイリッシュなデザインにしたり、ファミリー層なら明るく入りやすいお店を意識するなど、外観でどんなお客様を呼び込みたいかがある程度決まってきます。また、価格帯の分かりやすさも重要。高級店を目指すなら高級感のある入口を、カジュアルな雰囲気を伝えたいならポップな色使いや看板を活用することで差別化できます。
飲食店では、「この店、美味しそうだな」と思わせるような印象を入り口から演出する必要があります。店内が少し見えていると安心感が生まれるのも大きなポイントです。「見られて困る」というより、意図的に店内の様子を垣間見せる設計が好奇心を刺激し、実際の集客につながりやすくなるのです。
1-3. 入口はお店の第一印象を決める
お客様の多くは、お店の“見た目”で入店を決めると言っても過言ではありません。とりわけ初めて行く飲食店の場合、まずは入口周りの雰囲気やコンセプト、衛生面を判断材料にします。そのため、第一印象を左右する外観の状態は常に気を配りましょう。
例えば、通りの目立たない場所にある店舗でも、入り口付近に目立つ看板や案内板を設置しておけば「あ、こんなところにお店があるんだ」と認知されやすくなります。逆に入り口が暗く、通りから見えにくい状況ではお客様に存在を気づいてもらえず、せっかくの魅力的なメニューも空振りに終わってしまうかもしれません。
こうした第一印象は、外観全体だけでなく「扉の素材」や「ドアノブの清潔感」、「照明」などの細部にも及びます。どんな些細なポイントも見逃さないよう、トータルのデザイン・設計を常にチェックし、清掃を怠らないようにすることが求められます。
1-4. 飲食店における外観の役割

飲食店のお店づくりでは、入口を含めた外観が「料理の味」と並ぶ重要な“セールスポイント”となります。単に「格好いい」「派手」だけが正解ではなく、そこで提供する料理のスタイルや価格帯を視覚的に伝えることがカギです。
例えば、イタリアンの飲食店なら、落ち着いたヨーロッパ調のデザインで、高級感や温かみを表現できます。逆に、家族連れを狙うファミリー向けのパスタ屋さんであれば、楽しいイラストやポップな色合いを使うと良いでしょう。こうした入口の工夫だけでも「子どもと一緒に入りやすい雰囲気だな」「おしゃれで記念日にも使えそう」といった判断が一瞬で行われます。
外観を通じてお客様に与える情報としては、「どんなジャンルの料理か」「価格帯」「店内の様子」などが挙げられます。これらを伝えることで、お客様が必要な判断材料を得られ、入店に踏み切りやすくなるのです。また、外観を整備する際には、ターゲット層に合わせたメッセージ性を持たせることが何より大切です。
1-5. 新規のお客様を呼び込むための店舗入口
新規客を獲得するためには、まずお店を見つけてもらう、そして「入りやすい」と感じてもらうことが不可欠です。人々が通行中に抱く心理は「この店、ちょっと覗いてみたい」という好奇心と、逆に「もし場違いだったらどうしよう」という不安が混在しているもの。その不安を払拭し、気軽に入店してもらうには、入口に工夫を施すことが効果的です。
具体的には、看板や入り口周りの装飾で“あたたかいお出迎え”を演出したり、店頭でメニューを見せて価格帯を明示する方法があります。特に飲食店では、メニューの写真や料理のこだわりを掲示しておくと、「こんなメニューがあるんだ」という安心感が生まれるでしょう。
さらに、外観の色使いや照明で雰囲気を出すことも重要です。暗くて閉鎖的に見える入口よりも、明るくオープンな印象を与えるデザインの方が、初めて訪れる人にとって「ちょっと入ってみようかな」という気持ちを引き出しやすいです。

1-6. エントランスの必要性とは?
飲食店の入口を特別に「エントランス」として設計することには、多くのメリットがあります。エントランスとは、お客様が入店する前に待機・確認できるスペースや、店舗の世界観をしっかりと体感できる小空間のこと。「お客様が落ち着いて靴を脱ぎ履きする」といった機能的な側面もあれば、「店内に続くワクワク感を演出する」という感情的な側面もあります。
例えば、エントランスをガラス張りにして中の様子をある程度見せれば、「どんなお店だろう?」という興味と同時に、「どんなにぎわいか」を察知する手段にもなります。混雑状況が見える場合は、お客様も入るかどうかの判断がしやすくなるでしょう。
また、エントランスでの看板やメニュー表の設置は、お客様が「ここは飲食店なんだ」と再確認する大切な役割を果たします。お店によっては、エントランスでアルコール消毒などの感染症対策を実施しているところもあるため、「安心して入れるお店」という好印象を与えることも可能です。
1-7. 店舗の入り口デザインが集客で重要な理由
最後に、店舗の入口デザインがどのように集客に繋がるのかを整理しておきましょう。人は外観から得る視覚情報によって、無意識にお店を“判断”していると言われます。特に飲食店の場合は「味がどれだけ美味しいか」を事前に確認する手段が限られているため、入口に書かれた料理写真やメニューの雰囲気などが大きなウエイトを占めます。
お客様にとってお店選びは「ここならきっと食事が楽しめそうだ」と感じてもらうことがスタートです。ここで店頭のデザインや看板が魅力的に演出されていると、初見でも「入ってみよう」という心理的ハードルがぐっと下がります。また、価格帯や店内コンセプトが明確に伝われば、余計な不安なく扉を開けられます。
外観をただ整えるだけでなく、ターゲットとなる層が好むカラーリングや装飾を取り入れるなど、戦略をもって工夫することが必要です。店舗の外観や入口がしっかりとデザインされていれば、結果的に集客力が高まり売上増にもつながるのです。
第2章 入りやすい店舗や飲食店の条件と特徴

2-1. 入りやすい店舗入り口とは
「入りやすい」と感じるお店は、多くの要素が噛み合ってこそ成立します。まず外から見た時の印象が明るいこと。例えばガラス張りの扉を採用し、店内の光が漏れ出ていれば、通りがかった人に「どんな雰囲気のお店だろう」と興味を持たせることができます。また、扉を開けた瞬間にお客様を迎えるスペースが整理整頓されているかどうかも大事なポイント。
価格帯やメニューが入口周辺に掲示されていると、「どんな料理があって、どれくらいの予算なのか」が直感的に分かり、入るかどうかの判断がしやすくなります。特に飲食店の場合、メニュー写真やおすすめ料理のポスターなどを入口に貼っておくのは効果的です。一目で料理の種類やイメージが伝わるので、お客様の不安を大きく軽減してくれます。
さらに「通りやすい動線」も見落とせない要素。入口のドア付近に物を置きすぎて歩きにくい状態になっていると、お客様は入る前にストレスを感じてしまいます。デザインだけでなく、動きやすい設計を心がけることで、「ここなら落ち着いて食事できそう」と思われやすくなるのです。
2-2. 入りやすい店のポイントは「清潔感」「情報開示」「親近感」
まず清潔感。入り口がホコリだらけ、看板が壊れている、ドアに汚れが溜まっている…こうした状況だと、お客様は「衛生管理は大丈夫なのかな?」と不安を抱きがちです。飲食店は特に“清潔さ”が求められる業態なので、入口や外観のこまめな掃除は必須です。
次に情報開示。価格表やメニュー内容が分からず、店内の雰囲気も見えないとなると、「一歩踏み込みづらい」気持ちが湧いてしまいます。安心して入店するには、ある程度の情報がオープンになっていることが必要です。看板、ポスター、LEDディスプレイなどを活用して、“どんな料理がいくらで楽しめるか”をシンプルに伝えましょう。
最後に親近感。おしゃれすぎる内装や高級感全開の外観も魅力的ですが、場合によっては「高そうだし、なんだか入りづらい」と思われてしまうことがあります。カジュアルさを大切にしたいなら、温かみのある色合いや、ちょっとした遊び心のあるポップを設置するなど、お客様が「近寄りやすい」と感じる雰囲気作りを意識してみるのがおすすめです。
2-3. 思わず入りたくなる店舗入口とは?
「ここに入らずにいられない!」と感じる飲食店の入り口は、たいていコンセプトがはっきりしている場合が多いです。たとえば「カフェスタイル」にこだわるお店なら、店先に小さなテラス席を作ったり、コーヒーの香りを漂わせたりして、お客様の五感を刺激します。また、花や観葉植物を置いて自然の暖かみを演出すれば、癒やしを求める人の興味を引きやすいでしょう。
さらに、お店のアイデンティティを反映するロゴやサインを目立つ位置に配置するのも効果的。「このロゴ見たことある」という視覚的記憶は、次回以降の来店意欲にもつながります。特に初見の人には「入り口が可愛い」「外観がおしゃれ」と思われるだけで十分なフックになり得ます。
もう一つ大切なのは、入り口から店内の様子がある程度見えることです。店内が見えると「お客様がどんな雰囲気で食事しているか」が分かり安心感が高まります。大きなガラス扉やオープンなレイアウトは、心理的距離を縮める効果が期待できます。
2-4. 入りやすい店の「入り口」の条件とは?

入り口がどんなドアなのか、開き方はどうか、段差はあるのか…こうした物理的な部分も重要です。特にバリアフリーや車椅子・ベビーカーでのアクセスを考慮していないと、一部のお客様を遠ざけてしまいかねません。段差にはスロープを設置する、扉は自動ドアにするなど、配慮ある工夫で快適な入店が可能になります。
さらに、飲食店として外との空気の仕切りをどうするかも大切な視点です。寒い季節には冷たい風が店内に直接入らないよう二重扉を採用するなど、居心地の良さを維持する方法もあります。一方、外との一体感を強めたいカフェ風の店舗なら、あえてオープンテラス式にし、開放感を演出することも選択肢の一つ。
また、「ここはどうやって入ったらいいんだろう?」と戸惑うような構造は避けましょう。周囲の状況と合わせてシンプルに通りやすい動線を作ることが、お店の印象アップに直結します。デザインだけにこだわりすぎると使い勝手が悪くなるケースもあるため、実際に人がどのように動くかを想定して設計することが重要です。
2-5. 入りやすい店舗のポイント
どの業態でも共通していえるのは「お客様が『ここなら大丈夫』と感じられるポイントを押さえているか」です。例えばチェーン系カフェは、同じロゴや雰囲気を全国どこでもほぼ統一しているため、初めての場所でも迷わず入れます。これは“認知度”と“安心感”をセットで提供している好例と言えるでしょう。
個人経営の飲食店やレストランでも、「最初のハードル」を下げる工夫をすれば同様の効果を狙えます。メニューを見せる、小さなディスプレイで店内を紹介する、手書きのPOPで料理のこだわりをアピールするなど、できることはたくさんあります。
また、ターゲットによって入りやすい入口のスタイルは異なるので、どんな客層に来てほしいのかを明確にしておくことが必要です。女性を中心に集客したい場合は可愛らしい看板や洗練された外観が求められますし、学生が多い立地ならボリューム感ある写真や低価格をアピールするポスターが響くでしょう。
2-6. 入りやすい店舗の入り口デザインの特徴
入りやすいお店の入口は、基本的に「親しみやすさ」と「個性(差別化)」のバランスが良いのが特徴です。無個性すぎて目立たないと通り過ぎられてしまいますし、個性が強すぎて派手すぎると「ちょっと入りづらい」となる可能性があります。
また、通行人の流れを考慮して、入口に掲示する看板やポスターが視界に入りやすい位置にあるかどうかも確認しましょう。ビルの2階以上にある飲食店の場合は、エレベーター付近や階段口に誘導サインを貼って集客ルートをつくることが欠かせません。
入りやすいお店ほど、通りやすい動線や、わかりやすい看板、清潔感のある掃除が行き届いた外観を備えています。特に初回の訪問客はわずかな不安要素でも入店を諦めてしまうため、「不安を感じさせる隙を与えない」ことが最大のポイントです。
第3章 外観で店舗への集客力を上げるために必要な要素

3-1. 外観で集客力を上げるのに必要なこと
外観を使って集客力を上げるためには、まず「お客様が求める情報を見やすい形で伝える」ことが最優先です。特に飲食店であれば、「どんなジャンルの料理を提供しているか」「価格帯はどれくらいか」を一目で把握できるようにしましょう。例えば、昼時にはランチメニューの看板を入り口に出し、夜はディナータイム用のコースやドリンクメニューに切り替えるなど、時間帯によって案内を切り替えるのも効果的です。
さらに、お店独自のコンセプトを打ち出すことで印象に残りやすくなります。例えば、オーガニック素材にこだわるカフェなら、外壁や入口周辺に自然素材やグリーンをあしらうなど、見た目とコンセプトをリンクさせると「ここは健康的でおしゃれな店だな」と伝わりやすいでしょう。
また、ライバルが多い立地でも、外観のデザイン次第で差別化は可能です。おしゃれで洗練された看板を用意する、高級感を演出する木目や金属素材を取り入れる、夜間にはライトアップを施すなど、周囲の店舗と比較して目に留まりやすい仕掛けを用意すると良いでしょう。
3-2. 偶然通りかかった人の注意を引くためには
外観による集客を最大化するポイントとして、「偶然通りかかった人の目に留まる仕組み」をつくることが挙げられます。例えば、入口前に立て看板を設置し、思わず足を止めたくなるキャッチコピーや料理写真を大きく掲示する方法は定番です。
通りに面している場合は、歩行者や車道からの視点を想定して設計することが重要です。背の高い看板なら、遠くからでも視認できる可能性がありますし、照明をうまく使えば夜間でも魅力を放つことができます。
また、ディスプレイの工夫も考えたいところです。ショーケースに実物大のサンプルを置いたり、限定メニューのサンプルを飾ったりすることで、「こんな料理があるんだ」と直感的に理解させることが可能です。ドリンクバーの種類が豊富なカフェなら、カラフルなディスプレイや写真を使って、通りすがりの人に一瞬でアピールできます。
3-3. 店舗の入り口デザインが集客に与える影響
飲食店の入口デザインが与える影響は、実は“来店率”だけではありません。お客様が「いいお店だな」と感じて入店してくれた後、その第一印象が「店内でもしっかり満足できるだろう」という期待につながるのです。期待値が高いと、ポジティブな気持ちでメニューを選び、結果的に満足度も上がりやすくなります。
反対に、「なんとなく外観がしょぼいけれど、まあ仕方ないか」と妥協して入店したお客様は、店内で少しでもマイナス要素を見つけると「やっぱりダメだ」と感じてしまいがちです。外観から生まれる印象が、その後の食事体験やサービス評価にも連動するわけです。
このように、外観で好感を抱いてもらうことは、すなわちリピーター獲得や口コミ拡散の第一歩ともいえます。SNS投稿を促したり写真映えを狙えるデザインにするのも、現代の集客には有効な戦略でしょう。店内の写真だけでなく、“入口で記念写真を撮りたくなる”ような工夫があれば、自然と宣伝効果も高まります。

第4章 「入りやすい」を「入りたい」に変える外観デザインのポイント

4-1. 「入りやすい」を「入りたい」に上げるデザイン
入りやすさを意識した店舗の入口は、「なんとなく気軽に入れそう」な雰囲気が漂います。しかし、さらに一歩踏み込んで「ここに行きたい」「このお店じゃなきゃダメ」と思わせるには、もう少し深いデザインの工夫が必要です。
まず注目したいのが、お客様の目に最初に飛び込む外観と入口の印象。例えば、お店が掲げるコンセプトを連想しやすいカラーや材質を用いることで、“入りやすい”から“入りたい”へ気持ちを高めることができます。オーガニック志向の飲食店なら木や植物を活かしたナチュラルなテイスト、アーバンなカフェならスチールやガラスを多用したクールなテイストといった具合に、店全体のメインカラーを統一するとそのコンセプトが直感的に伝わりやすいです。
また、設計の段階で「自分が客としてここに来たらテンションが上がるか?」をシミュレーションしてみるのも有効です。入口を少し奥まった位置にし、そこにサプライズ要素(例えば小さな雑貨のディスプレイや、こだわりの照明演出)を忍ばせると、“次は何が待っているんだろう”という期待を引き出すことができます。視線を誘導しながらワクワクさせることで、「入りたい」という高揚感を自然と生み出せるのです。
さらに、看板やポスターで料理や商品へのこだわりをしっかりアピールすることも重要です。単に価格を伝えるだけでなく、「このメニューはこんなストーリーで作られています」といった背景情報があると、入口からお客様の興味をくすぐる演出につながります。ターゲット層が興味を持つトピックスを厳選して掲示することで、お客様の入店意欲は確実に高まるでしょう。
店頭の訴求力をさらに高めるには、キャッチコピーの工夫もポイントです。併せて『【誰でも簡単】集客できる飲食店のキャッチコピーの作り方大全!具体的な考え方から成功事例まで徹底解説!』こちらも見てください。
4-2. 入りたくなる外観のポイント
「入りやすい」から「入りたい」へとステップアップするには、お客様の“五感”を刺激するデザインが求められます。そのため、視覚面だけでなく聴覚や嗅覚へのアプローチも意識してみましょう。例えばコーヒー豆を焙煎しているカフェであれば、入口付近から香りが立ち込めるように設計するだけでも「コーヒーのいい匂いがする、ちょっと入ってみようかな」と思わせられます。
また、お店のコンセプトに合わせたBGMを入口でうっすら流しておくのも一つの手です。ハワイアンテイストの飲食店なら南国のミュージック、和食店なら落ち着いた三味線や琴の音色など、入る前から店内の雰囲気を想像させれば、そのままスムーズに扉を開けたくなるはずです。
外観のデザインでは、看板や装飾、窓ガラスに至るまで、一貫した世界観を表現することが肝心です。例えば可愛らしいロゴを採用しているのに、入口ドアだけ無機質で武骨な金属製だと、コンセプトにチグハグ感が生まれてしまいます。店全体で使うフォントやカラー、アイコンなどを統一すれば、「ここはどんなテイストのお店か」が直感的に伝わり、「私が好きそうな雰囲気だな」と思われやすいのです。
さらに、夜間のライトアップも忘れてはいけません。飲食店やカフェは、日中だけでなく夜間にも訪れるお客様が多い業態です。看板や店舗外壁の照明が不足していると、暗い印象になってしまい“入りづらさ”が増してしまいます。逆に、程よい照明でほんのり店舗の外観を照らせば、温かみや高級感を演出でき、「ここに入りたい」という気持ちを誘発しやすくなります。
4-3. 思わず入りたくなる入口とは?
「思わず入りたくなる」ために押さえたいのは、“お客様の期待”を超えるような細かな仕掛けです。例えば、入口のドアノブや取っ手にちょっとしたオリジナルの装飾を施してあったり、入口付近にイメージキャラクターの小型オブジェを置いてあったりすると、「かわいい!」「面白い!」と興味をそそられます。
飲食店なら、入口のガラス越しに店内の様子が見えたり、実際に焼き立てのパンやピザを調理している姿がうかがえたりするのも大きなプラス。ライブ感や出来立て感を感じると、「この料理を実際に食べてみたい」と強く思うきっかけになるのです。
さらに、入り口周りの“清潔感”と“季節感”の両立もポイント。季節に合わせて花を飾ったり、夏なら涼しさを感じる装飾、冬なら温かみのある照明を追加するなど、常に進化している店先の演出があると、「このお店は細かいところまで気を配っているんだな」と好印象を与えられます。
また、「ちょっと話しかけたくなる」店員さんの存在も、入口の雰囲気を和ませる要素の一つ。明るい声掛けや笑顔での接客は、お客様に「ここなら気持ちよく過ごせそう」と伝わりやすいです。入口付近はお客様と最初に接点を持つ場所でもあるため、丁寧に案内をすることで“入りたい”と思わせる強力な要因となります。
4-4. 入りたくなる店舗の入口を作ろう!
「今ある店舗を大きくリニューアルするのは難しいけれど、少しでも入りやすい雰囲気を作りたい」という場合でも、できることは多々あります。まずは、看板やメニュー表示の仕方を見直してみましょう。もし手書きのメニューが読みづらいなら、フォントを整理して見やすくするだけでも効果があります。
小規模な改装であれば、入口の壁紙や塗装を変更することでガラリと印象が変わります。テーブルや椅子などの内装とトーンを合わせれば、お店のコンセプトをトータルコーディネートできます。例えば、北欧風のナチュラルテイストを打ち出すなら、ウッド調の外壁や植物のディスプレイをプラスしてみるのもおすすめです。
また、照明についても、明るさや色温度を変えるだけでお客様が抱く印象は大きく変わります。電球色(暖色系)のライトを使用すると温かみのある雰囲気が出ますし、白色系を使用すれば清潔感やモダンな印象を強めることができます。特に夜間営業がメインの飲食店では、入口が暗く見えないよう適切な配置と明るさを確保するのが大切です。
さらに、ターゲットに合わせた雑誌やフリーペーパーを入口付近に置いておくのも一つの手。カフェならファッションやライフスタイル誌、家族向け飲食店なら子ども向けのイラストなどを置いておけば、お客様の興味を自然に引き立て、「ここに入りたい」と思わせる仕掛けになります。
4-5. 「入りたい」と思わせるデザインの特徴
総じて「入りたい!」と思わせる入口のデザインとは、お客様の心理的ハードルをいかに下げ、同時にワクワク感を高めるかがポイントです。そのためには、まず店内やメニューに対する不安を入口で解消しておく必要があります。具体的には、メニューや価格を入口で明示したり、店内が見えるようにガラス扉を使ったりするなど、情報開示をしっかり行うことです。
もう一つ重要なのは、お客様が感じる“ここにしかない魅力”のアピール。例えば、希少な豆を使ったスペシャルティコーヒーが目玉のカフェなら、店先でロゴやキャッチコピーを用いて「ここは特別なコーヒーが楽しめるカフェです」というメッセージを発信するわけです。
また、入口周辺にちょっとした“フォトスポット”を用意するのも現代ならではの集客テクニック。「SNSでシェアしたい!」と思わせる写真映えスポットがあれば、それを目当てに入店するお客様も増えますし、自然に口コミや拡散が期待できます。
最終的には、「このお店に入って過ごす時間ってきっと楽しいだろうな」という期待感を、入口のデザインを通じて伝えられるかどうかです。そこに成功すれば、リピーターの獲得にもつながり、長期的な集客効果が見込めるでしょう。
第5章 店舗や飲食店の入口で使える具体的な工夫とアイデア

5-1. 入りやすい店の「外観」とは?
では実際に“入りやすい外観”とはどういったものか、もう少し具体的に見ていきましょう。まず挙げられるのは、清潔感。外壁やドアに汚れやホコリがついていると、どうしてもお客様からの印象は下がってしまいます。特に看板が日焼けで文字が読めなくなっていたり、ライトが切れかけてチラついていたりすると「メンテナンスが行き届いていないのかな?」と疑われがちです。
また、外観で「ここは何のお店なのか」がわからない状態も避けたいです。業種が明確に伝わるデザインが必要で、飲食店なら「食べ物の写真」「メニュー名」「店名から連想できるアイコン」などをさりげなく配置しておくと良いでしょう。例えば、ラーメン店ならラーメンのイラストや湯気が立つ丼をあしらったロゴ、カフェならコーヒーカップやスイーツのイメージを飾るといった具合です。
さらに、外観の色合いはお店の雰囲気や価格帯を表現する強力なツールです。カジュアルで明るい雰囲気を求めるなら黄色やオレンジなどの暖色系、高級感を打ち出すならモノトーンやシックな木目調を選ぶなど、ターゲットとなる層が「自分に合っていそう」と思える配色に仕上げると効果的です。
5-2. より集客効果を高める外観のために意識すべきポイント
ここからは、より具体的な集客テクニックに踏み込みます。例えば、雨の日や夜間の対策はどうでしょうか?意外と見落としがちなのが、屋外照明の設置や看板の防水対策です。雨が降っているときにも看板や入口がしっかり見えるように工夫すると、悪天候でも通りすがった人にお店の存在をアピールできます。
また、夜間はライトアップにより外観を魅力的に演出するチャンスです。店舗上部に取り付けたライトで建物全体を照らす、看板をスポットライトで強調するなど、周囲が暗いほど光の効果が際立ちます。特に飲食店では、夜にふらっと立ち寄るお客様も多いので、夜間のビジュアルは非常に重要です。
さらに、季節行事やイベントとの連動も挙げられます。ハロウィンやクリスマスなどの季節に合わせて、入口周りを飾り付けるのはもちろんのこと、限定メニューをポスターで告知すると「今だけ」「期間限定」という特別感が伝わります。通りがかった人に「そうか、今ならこんなメニューが食べられるんだ」と思わせれば、一度は訪れてみたいと感じるきっかけになるでしょう。
こうした細かい工夫の積み重ねが、トータルで“あのお店は入りやすいし、いつ見ても楽しそうだ”という印象を作り上げ、集客につながります。
外観の工夫とあわせて平日の集客力も高めましょう。こちら『【完全版】飲食店で平日集客を伸ばす方法を総まとめ!無料でもできる効果的なお店への来店の増やし方!』も併せて見てください。
5-3. 店舗入り口デザインの参考アイデア
デザインを考える際には、周囲の景観や立地条件も踏まえることが大切です。もし繁華街の一角であれば、周囲の店舗との差別化を意識して、あえてナチュラル・シンプルにまとめるのも手段の一つ。逆に郊外のロードサイド店であれば、少し派手めの看板やLEDイルミネーションを使って遠くからでも認識できるようにする必要があるかもしれません。
具体的なアイデアとしては、コントラストを活かした配色が挙げられます。例えば落ち着いたブラウンの外壁に、白い文字や鮮やかな赤のロゴを組み合わせると、視認性が高まりお店がはっきりと際立つ効果を得られます。また、入り口付近に観葉植物や花を置くと、自然の癒やしがプラスされ、清潔感と温かみを感じやすくなります。
高級感を演出したい場合は、金属パネルやガラス素材を要所で使うと効果的です。例えばガラス張りの扉にステンレスのフレームを合わせたり、ブロンズ調のプレート看板を飾ったりするだけで、グッと高級感が高まります。ここでも、お店のコンセプトと合っているかどうかを常に意識することが大切です。
5-4. 店舗入口におすすめの集客グッズ5選
- ブラックボード
- 手書きの温かみを活かした演出が可能。日替わりメニューや季節のおすすめを気軽に書き換えられるため、お客様に常に新鮮な情報を提供できる。
- 手書きの温かみを活かした演出が可能。日替わりメニューや季節のおすすめを気軽に書き換えられるため、お客様に常に新鮮な情報を提供できる。
- 店頭幕
- 大きく店名やロゴを載せることで、遠くからでも店舗の存在がわかりやすい。風になびく動きも視線を集める。
- 大きく店名やロゴを載せることで、遠くからでも店舗の存在がわかりやすい。風になびく動きも視線を集める。
- のれん
- 和食系やレトロ感を演出したいお店にぴったり。外から店内を一部隠しつつ、チラッと見える様子で好奇心をそそる効果がある。
- 和食系やレトロ感を演出したいお店にぴったり。外から店内を一部隠しつつ、チラッと見える様子で好奇心をそそる効果がある。
- バナースタンド
- コンパクトに収納でき、イベントや時間帯に応じて設置場所を変えられる。商品写真を大きく印刷すれば、一気に印象を伝えられる。
- コンパクトに収納でき、イベントや時間帯に応じて設置場所を変えられる。商品写真を大きく印刷すれば、一気に印象を伝えられる。
- のぼり
- 居酒屋やラーメン店などで定番。目立つ色を使えば、歩行者やドライバーの目に留まりやすく、特定メニューの宣伝にも活用できる。
- 居酒屋やラーメン店などで定番。目立つ色を使えば、歩行者やドライバーの目に留まりやすく、特定メニューの宣伝にも活用できる。
これらのグッズは、いずれも設置場所やデザイン次第で強力な集客ツールになります。選ぶ際は、店舗のコンセプトやターゲット層に合ったものを厳選することがポイントです。
5-5. 入口を彩るのにオススメの商品
上記以外にも、店舗を演出するためのアイテムはいろいろあります。たとえば「メニュー看板」は、実際に商品名や価格を大きく表示するだけでなく、美味しそうな写真を添えることで直接的に食欲を刺激できます。
また、最近はオリジナルの「マット」も人気です。店舗ロゴをあしらったエントランスマットを敷いておけば、入店時に足元からお店の雰囲気を演出でき、かつ床の汚れ対策にもなるというメリットがあります。
「プレート」は、ドアノブや壁に取り付ける小さめの看板です。ちょっとした一言メッセージ(「Welcome!」「いらっしゃいませ」など)や、お店のOPEN/CLOSEを示す表示として活用できます。店内側にも設置して、トイレやレジの案内をオシャレにデザインしているお店も増えています。
飲食店では昔ながらの「提灯」や「のれん」も根強く使われています。居酒屋や大衆食堂の雰囲気を醸し出すにはぴったりのアイテムで、お客様に「ここはどんなジャンルの料理を提供しているか」を一目で伝えやすいです。これらを季節ごとに付け替えたりデザインを変えたりすると、飽きさせない工夫も可能になるでしょう。
5-6. 店舗の入り口デザインの参考アイデア4選
最後に、すぐに実践できる4つの参考アイデアを挙げておきます。
- コントラストによる視認性アップ
- 外壁や扉を落ち着いた色にして、看板や文字を明るい色で強調する。遠くからでもひと目で「ここにお店がある」と分かるようにする。
- 外壁や扉を落ち着いた色にして、看板や文字を明るい色で強調する。遠くからでもひと目で「ここにお店がある」と分かるようにする。
- 観葉植物でリラックス感をプラス
- カフェやサロンなど落ち着いた空間づくりを目指す店舗は、入り口にグリーンを配置。自然のぬくもりが加わると親近感が高まりやすい。
- カフェやサロンなど落ち着いた空間づくりを目指す店舗は、入り口にグリーンを配置。自然のぬくもりが加わると親近感が高まりやすい。
- ガラス張りの入り口で季節を取り込む
- 店内が見えやすいよう大きなガラスを使い、そこに四季折々のディスプレイ(桜、紅葉、クリスマスツリーなど)を飾る。季節感と清潔感が同時に演出できる。
- 店内が見えやすいよう大きなガラスを使い、そこに四季折々のディスプレイ(桜、紅葉、クリスマスツリーなど)を飾る。季節感と清潔感が同時に演出できる。
- 価格をわからなくして格式を演出
- 高級レストランやバーなど、あえて価格を前面に出さずミステリアスな雰囲気を醸し出す方法。ターゲットが富裕層や大人向けの場合には、あえてラグジュアリー感を重視し、価格情報を見せ過ぎないという手もある。
- 高級レストランやバーなど、あえて価格を前面に出さずミステリアスな雰囲気を醸し出す方法。ターゲットが富裕層や大人向けの場合には、あえてラグジュアリー感を重視し、価格情報を見せ過ぎないという手もある。
自分のお店がどんなスタイルかを見極め、この中から合ったアイデアを取り入れてみることで、外観や入口のデザインを手軽にアップデートし、集客の手助けになるでしょう。
第6章 店舗や飲食店の外観の設計で押さえておきたいコツ

6-1. 店舗入り口デザインが重要な理由
店舗の設計全体を考えると、キッチンの動線やホール席の配置など、店内のレイアウトがどうしても注目されがちです。しかし、実際にはお客様が最初に触れるのは“入口”と“外観”です。ここでお店の印象が固まるため、入り口のデザインに手を抜くと、その後どれだけ素晴らしいメニューやサービスがあっても入店まで辿り着かないリスクがあります。
また、「入り口が素敵なお店」というだけで口コミが広がる時代です。SNSの普及により、一度話題になったデザインは瞬く間に拡散され、「あの映える外観のお店に行きたい!」と多くの人が訪れるきっかけにもなり得ます。つまり、入口デザインは集客ツールとしての価値が高いといえます。
さらに、飲食店においては「衛生的である」「スタッフのホスピタリティが感じられる」といった要素を入口から印象づけることが大切です。たとえば入口付近にきちんと消毒用アルコールが置いてあり、しっかり手入れされている光景を見れば、お客様は安心して入店できるでしょう。デザインと機能性、両方を兼ね備えることが求められます。
6-2. 店舗の入り口デザインに求められる5つのこと
入り口には少なくとも以下の5要素を備える必要があります。
- 顧客の目を引き付けられる
- まずは視覚的に「何だろう?」と思わせるインパクト。色やロゴ、看板などで印象づける。
- まずは視覚的に「何だろう?」と思わせるインパクト。色やロゴ、看板などで印象づける。
- どのような店なのか判断できる
- 飲食店、カフェ、居酒屋など、ジャンルがひと目で分かるデザイン。価格帯やメニューの傾向を入口で伝えられるとなお良い。
- 飲食店、カフェ、居酒屋など、ジャンルがひと目で分かるデザイン。価格帯やメニューの傾向を入口で伝えられるとなお良い。
- 店内の様子がわかる
- 扉が透明、もしくは窓などを通して内観がうかがえる構造にすることで、お客様の不安をやわらげる。
- 扉が透明、もしくは窓などを通して内観がうかがえる構造にすることで、お客様の不安をやわらげる。
- 親しみやすさと清潔さがある
- 汚れやすいドアや壁面は頻繁に清掃し、スタッフの挨拶も大切に。開放的な雰囲気が伝わるレイアウトづくり。
- 汚れやすいドアや壁面は頻繁に清掃し、スタッフの挨拶も大切に。開放的な雰囲気が伝わるレイアウトづくり。
- 奥までの動線が確保されている
- 入口に無駄な障害物を置かず、スムーズにレジや席へ通じるよう設計されているかがポイント。
- 入口に無駄な障害物を置かず、スムーズにレジや席へ通じるよう設計されているかがポイント。
これら5つの要件を満たすことで、「とりあえず扉を開けてみようか」という心理を誘発しやすくなります。特に初めてのお客様には、少しでもハードルを下げる仕掛けが大切です。
6-3. 店舗の入り口デザインを考えるときのコツとは?
まずはターゲット層を明確にすることが第一歩です。若い女性向けのカフェを運営したいのか、ビジネス層がランチに利用する定食屋なのか、ファミリー層が週末に来店するイタリアンなのか…。ターゲットが違えば、お店のコンセプトや価格帯、内外装のテイストも変わってきます。それに合わせて入口のデザインや看板のメッセージ性も変えていくのがセオリーです。
次に考えたいのは、競合との差別化です。周囲に似たような外観のお店ばかりだと埋もれてしまいます。たとえば、周辺にカフェが多い場所なら、「外観はあえて落ち着いた色合いにして、メニューの写真でポップに演出する」など、一点だけ他店と明確に違う要素を作ると目立ちやすくなります。
また、派手なだけが必ずしも良いとは限りません。落ち着いたダークトーンでまとめている飲食店でも、丁寧なライトアップやロゴデザインで洗練された高級感を出す方法があります。逆に若者向けなら、おもいきってネオンカラーを使った派手な看板を掲げるのもアリでしょう。
さらに、もし1階にない店舗であれば、看板やサインを通行人の視線に合わせて設置したり、エレベーター横や階段付近に案内表示を置いたりして、スムーズに導線を確保しましょう。「2階に上がってまで見に行く価値がありそう」と思わせる工夫が必要です。
6-4. 分かりにくい入口は避けられる
いくら中の内装や料理が素晴らしくても、お客様に入口を見つけてもらえなければ意味がありません。実は「ドアがどこにあるのか分かりづらい」「扉を開けにくい」「入口が暗い」などの理由で入店を諦めてしまうケースは意外と多いもの。
特に、雑居ビルの中にある飲食店やカフェは、看板や案内表示を適切に設置しないと素通りされがちです。入口が裏手にあったり通路の奥まった場所にある場合は、通りから目立つ位置に大きく誘導サインを出す、あるいは足元にライトを仕込むなど、工夫次第で見つけやすく変わります。
また、扉が重たすぎたり狭すぎたりして、お客様が入る前にストレスを感じることのないよう配慮が必要です。特にバリアフリー面では、車椅子やベビーカーでも通りやすい幅を確保しておくと、それだけで入りやすいお店として評価が高まります。「入口が使いにくい」というだけで機会損失を出すのはもったいないので、事前にしっかり確認しておきましょう。
6-5. コロナウイルス感染症対策も入りやすいお店の条件!
感染症対策は、もはや飲食店が避けて通れない要素です。入口にアルコール消毒を設置したり、検温の案内を分かりやすく示したりすることは、「このお店は安心して過ごせる」と感じてもらうために重要です。入り口付近にポスターや看板を置き、具体的な対策をまとめておくとよいでしょう。
たとえば「店内は定期的に換気しています」「スタッフはマスク着用と手洗いを徹底しています」といった情報を見せるだけでも、お客様が抱く「このお店、大丈夫かな?」という不安を和らげられます。入口が密閉されないように設計しつつ、店内までの動線でソーシャルディスタンスが確保できるよう工夫することもポイントです。
また、取り外しが容易な透明パネルやシールドを入口付近に常備しておくと、状況に応じて柔軟に対応できるでしょう。入り口の扉にタッチしなくても開閉できる自動ドアやフットオープナーを導入するお店も増えています。感染症対策を徹底することで、「清潔感」や「安心感」といった印象がさらに強まり、結果として入りやすい店舗に近づくのです。
第7章 業種別に考える外観や入口のデザインの特徴

7-1. 飲食店
飲食店の外観・入口を考えるうえで大切なのは、やはり「どんな料理を提供しているのか」と「どの層をターゲットにしているのか」を見た目で伝えることです。たとえばカジュアルな定食屋であれば、暖色系の照明とメニュー写真の看板を設置し、安くてボリューム感がある印象を押し出したいところ。ファミレスやファミリー向けの飲食店なら、子どもにも分かりやすい大きな文字やイラストを使ったデザインが有効です。
また、高級料理店の場合は、あえて店舗の外観を控えめにして、わずかに高級感を漂わせることも一つの戦略です。木製の扉や看板に上品なロゴをあしらい、価格帯をあえて明示しないことで、「特別な日に行きたい」と思わせる雰囲気を醸し出します。こうした演出は「入りにくさ」を生む場合もある反面、ターゲット層にとっては魅力的に映るものです。
カフェであれば、店先にテラス席を設置していると、外を通りかかった人がちょっと座ってみたくなる様子を演出しやすいです。すでにお客様がゆったりくつろいでいる姿が見えると、「このカフェ、居心地よさそう」と感じてもらえますし、アロマやコーヒーの香りが漂えばさらなる集客効果が期待できます。
飲食店ではどんなコンセプトの料理を出すかが明確であるほど、外観・入口でのビジュアル表現がスムーズに進みます。季節ごとに変わる新メニューを入口に大きく紹介したり、ランチとディナーで看板を切り替えたりするなど、常に新鮮な情報を発信していくと、リピーターも飽きずに通ってくれるでしょう。
7-2. アパレル店
アパレル店は、ファッションセンスをダイレクトに外観や入口で表現できる業態です。外壁や看板にトレンドのカラーを取り入れたり、店舗正面にマネキンを配置して今季のおすすめコーデを見せたりすることで、「こんなスタイルになりたい」「この服を着てみたい」という購買意欲を刺激しやすいでしょう。
ショーウィンドウがある場合は、定期的にディスプレイを変えることが大切です。シーズンの切り替えに合わせて新作アイテムを並べたり、ディスプレイ背景のデザインを変えたりすることで、通行人が「あれ?ここ、前と雰囲気が変わったな」と気づき、足を止めるきっかけを作れます。
また、アパレル店は入口を広く取り、店内の様子をしっかり見せることが多いです。奥まで視線が通ることで入りやすさが高まり、「どんな商品があるか」を一瞬で把握できるのもメリット。ハンガーラックを通路沿いに並べすぎると圧迫感が出るため、入り口周辺はあえてスペースを確保し、ゆとりを持たせることを意識しましょう。
ターゲットが若者向けなら、ポップな音楽を流して“トレンド感”を強調するのも有効です。一方、落ち着いた年齢層を狙うなら、シンプルな看板デザインで重厚感を出すといった演出も考えられます。いずれにせよ、ブランドコンセプトを外観・入口から分かりやすく伝えることが必要です。
7-3. 美容室・サロン
美容室やサロンは、店内の清潔感やリラクゼーション空間としての魅力を入口でどう表現するかがポイントです。大きなガラス扉や窓ガラスを使って、明るく開放的な雰囲気を演出すると、「ここなら気持ちよく過ごせそう」と感じさせやすくなります。
美容室の場合は、カットモデルの写真やヘアカタログを入口付近にディスプレイしても良いでしょう。施術後のイメージを具体的に想像できれば、「こんなスタイルにしてほしい!」と期待が高まります。また、サロンならアロマの香りを漂わせるなど、“リラックス効果”を入口から感じられる工夫を凝らすのも面白いですね。
店舗内のコンセプトカラーを、外観や看板にも統一して使えば、店の世界観が分かりやすくなります。さらに、予約の状況やキャンペーン情報を小さめの看板で案内すれば、飛び込み客にも「空いてるならちょっと入店してみようかな」という気持ちを起こさせやすいです。
美容室やサロンは、継続的に通ってもらうケースが多いため、入口でお店の“落ち着き”や“高級感”をうまくアピールするとリピーターの定着率も上がりやすくなります。外観からの印象が「ここならゆったりと自分の時間を楽しめそう」と思われれば、次回予約や長期的なファンづくりにもつながるでしょう。
7-4. クリニック
クリニックや病院では、外観や入口でまず「安心感」と「信頼感」を伝えることが欠かせません。医療機関では特に清潔感が重視されるため、壁や床の汚れはこまめにメンテナンスし、明るい照明を確保することで患者さんに安心感を与えられます。
また、単に「病院らしさ」を前面に出すだけでなく、優しいカラーや間接照明を使って“怖くない雰囲気”を演出するところも増えています。特に小児科など子ども連れが多いクリニックでは、キャラクターを入り口に描いたり、可愛い飾りをつけたりするなど、親しみやすさを持たせる工夫をすると良いでしょう。
看板には診療科目や営業時間、電話番号など必要な情報を大きく書き、遠くからでもパッと見て分かるようにします。また、駐車場の位置やバリアフリー設備の有無も明示しておけば、身体の不自由な方や高齢者でも安心して来院できます。
特に外観のカラーやデザインには注意が求められます。あまりダークトーンにすると病院らしさが薄れ、逆に色が多すぎると医療機関としての信頼感が損なわれる可能性があります。クリニックに合った落ち着いた色味を選びながらも、ほんの少し個性を出すことで、「他の病院より通いやすそう」という印象を持ってもらいやすくなります。
7-5. スーパーマーケット
大型のスーパーマーケットは、入口の広さと人の流れの設計が特に重要です。買い物客が多い時間帯には入口付近が混雑しがちなので、衝突を避けるための動線を十分に確保しましょう。また、カートを押しながらでも入りやすいよう、段差のないフラットな入口を用意する必要があります。
さらに、入口付近にチラシや特売情報を掲示しておくと、来店客が「今日の目玉商品は何か」をすぐに把握できて便利です。飲食店やカフェほど雰囲気作りはしない場合でも、清潔感とわかりやすさを重視した看板を立てることで、買い物に来たお客様へスムーズに情報を提供できます。
店内の様子をうかがえる自動ドアやガラス壁を採用すれば、「中はどんなレイアウトで、どこに商品が並んでいるのか」を遠目に確認できます。特に初めて訪れる人は、入ってすぐの場所に総菜コーナーやキャンペーン商品のディスプレイがあると、興味を引かれやすくなります。
スーパーマーケットも定期的に外観をリニューアルすることで、常連客にも新鮮な印象を与えられます。看板のデザインや売り場案内を改善すると、「もっと利用しやすくなった」と感じてもらい、結果的に集客効果が持続しやすいのです。
第8章 店舗の外観を魅力的に保つためのメンテナンス

8-1. メンテナンスを怠らない
飲食店に限らず、店舗の外観や入口は日々の風雨にさらされて劣化していきます。看板が日焼けして文字がかすれてきたり、ポスターが湿気で波打ってきたりするのは避けたいところ。清掃をサボって埃がたまっていると、お客様は「このお店、大丈夫かな?」と不安になってしまいます。
定期的に壁や扉の汚れをチェックして拭き取り、必要に応じて再塗装したり修繕したりすることが欠かせません。消耗が激しい屋外照明や電球は、切れかけていないかこまめに確認して交換を行いましょう。外観のメンテナンスを怠らなければ、お店の印象を長く良好に保てます。
飲食店では特に看板のメニュー写真やディスプレイの保存状態が重要です。色褪せた料理写真をそのままにしておくと、せっかくの美味しそうなイメージが台無しになりかねません。メニュー内容が変わったら即座に看板を更新するなど、常に新鮮な情報を発信できるよう管理することが必要です。
8-2. リノベーションをする
店舗の外観を長期間活用していると、どうしても古さが目立ってきます。大掛かりな工事はコストもかかりますが、定期的にリノベーションを行うことで大きく印象を変え、再び話題を呼ぶことができます。
例えば、入口の位置を大胆に変えたり、扉の材質をガラスに替えて開放感を出したりといった改装を行えば、「あれ、こんなにおしゃれだったっけ?」と常連客にも新鮮に映るでしょう。ライバル飲食店の動向や周辺のトレンドをチェックしつつ、お店のコンセプトに合った改装計画を立てることが大切です。
リノベーションは、外観だけでなく店内のレイアウトや導線の見直しにも繋がります。料理を運ぶスタッフの動きがスムーズになることでサービス品質が向上し、結果的にお客様の満足度も上がるでしょう。店舗まるごとの設計変更を考える場合には、プロのデザイナーや施工業者と協力して、店舗全体のブランディングと一致したアプローチを図るのが成功の鍵です。
リニューアル費用がない!と言う方はまずは経費を抑えてみることも良いのかもです。こちら『飲食店の経費削減完全マニュアル!すぐに効果が出るコスト最適化のアイデアをすべて大公開!』も併せて見てみることをおすすめします。
8-3. 動線を意識したエントランス
メンテナンスやリノベーション時に、ぜひ見直してほしいのが入口から店内までの動線です。エントランス部分はお客様が必ず通る場所であり、料理やサービスを楽しむ前段階の“導入”にあたります。ここでの滞在時間が苦痛に感じられると、その後の体験にもマイナスイメージがつきやすいのです。
動線を改善するためには、まず「人が集中しやすいポイント」を洗い出します。たとえば、扉の前で列ができるのに退避スペースがない、レジと入口が近すぎてぶつかりやすい、などの問題点があれば、配置の見直しやサイン設置の工夫を行いましょう。
大規模リノベーションの場合は、思い切ってエントランスの形状を変える方法もあります。例えばL字型の壁を取り払って広いフロアにする、風除室(風や雨を直接入れない小さな部屋)を追加して快適性をアップさせるなど、設計の段階で細部にこだわることでストレスの少ない空間を実現できます。エントランスを整備すれば、入店時のストレスが減り、全体的な雰囲気もよくなるはずです。
第9章 店舗の入口づくりに関するよくある疑問
9-1. 看板には何を載せれば効果的か?
飲食店の外観で目立つのが看板ですが、そこに載せる内容としては「店名」「ジャンル」「おすすめメニュー」「価格帯」「営業時間」などが基本です。特に初めて訪れる人は「いくらくらいで何が食べられるか?」を知りたいので、ある程度の価格感を示すと「行ってみようかな」と思われやすくなります。
看板は大きく分かりやすいフォントを使い、暗い場所でも視認できるよう照明を当てておくのがベターです。なお、スペースに余裕があるなら、料理写真やお店のコンセプトをひとこと添えるとさらに親切でしょう。
9-2. 入口周りの清掃やリニューアルの頻度はどのくらい?
基本的な清掃は毎日行うべきです。飲食店では油汚れやホコリが意外と早く堆積するので、看板や外壁もこまめにチェックしないといけません。特に入口付近はお客様が触れる機会が多い場所(ドアノブなど)や目につきやすい場所なので、常にベストな状態を保ちましょう。
リニューアルの頻度はお店の規模や予算により異なりますが、数年に一度は大きなメンテナンスやイメージチェンジを検討すると良いでしょう。外観デザインが古くなると、「昔からあるけど時代遅れかも」というネガティブな印象を抱かれかねません。小規模でも構わないので定期的に手を入れ、常に新鮮な空気をまとわせておくことが必要です。
9-3. 目立つ装飾をしたいが、派手すぎるのは逆効果では?
確かに、あまりにも派手すぎると客層によっては「なんだか落ち着かない」「やりすぎじゃない?」と距離を置かれる場合があります。特に高級感や落ち着きを重視する飲食店には逆効果かもしれません。
ここで重要なのは、ターゲットとのマッチングです。若い学生が集まる“映え”重視のカフェなら、ネオンライトやカラフルな装飾も喜ばれます。しかし、静かにお酒を楽しむ大人向けのバーなら、控えめでシックな演出のほうがむしろ「ここは大人の隠れ家っぽい」と評価されるでしょう。
つまり、どこまでの“派手さ”が許容されるかはお店次第。同業態の競合や周辺の雰囲気も踏まえて、「ここだけは他店と違う」と思われるポイントをうまく取り入れると効果的です。装飾の派手さを演出するにしても、最終的には「お客様に心地よく使ってもらう」という視点を忘れないようにしましょう。
第10章 魅力的な入り口や外観でお客さんを惹きつけよう!
10-1. デザインのコツを押さえて集客につなげよう
ここまで、飲食店をはじめとする店舗の外観・入口がいかに集客と深い関係にあるかを見てきました。最終的にどんなデザインにするにしても、「お客様がドアを開けたくなるか」という視点が何よりも大切です。
- お店のコンセプトははっきりしているか?
- ターゲット層は明確にイメージできるか?
- 遠くからでも目立つ看板やサインはあるか?
- お客様が安心して入店できるよう清潔感や情報開示は十分か?
こうした点を満たしていれば、自然と「ここに行ってみたい」と思わせるデザインに近づきます。
魅力的な外観をブログでも発信することで、さらなる集客が期待できます。こちら『飲食店のブログ集客の方法を大公開!来店や売上に繋げる上手な活用方法!』も併せて確認してください。
10-2. 店舗のイメージを強化する最終ポイント
外観・入口周りは、お客様にとって最初に触れる「お店のイメージ」の塊です。看板、壁の色、照明、ドア、ディスプレイ、スタッフの立ち居振る舞い…すべてが統一されたメッセージを伝えているかが鍵となります。
また、店内とのギャップにも要注意。外がカジュアルな雰囲気なのに中はフォーマルすぎる場合など、お客様に混乱を与える可能性があります。できるだけ外観のイメージを継続するか、逆にあえて大きなギャップを演出する場合でも、「意図的に行っている」と伝わるようデザインに工夫を施しましょう。
最終的には、“そのお店ならではの魅力”を外観と入口で力強く発信できているかどうかが、集客とリピーター増加の決め手になります。お客様が「またここに来たい」「あの雰囲気を味わいたい」と感じるなら、そのお店はしっかりイメージを確立できている証拠です。
10-3. 今後の見積もり依頼や施工の流れ
もし大規模リノベーションや全面的なデザイン変更を考えている場合は、まず複数の施工会社やデザイナーに見積もりを依頼して比較検討するとよいでしょう。その際には、「どんなコンセプトで店を作りたいのか」を具体的に伝えることで、業者側も最適な提案がしやすくなります。
施工スケジュールの確認も重要です。飲食店の場合は休業期間が長引くと売上に直結するため、リニューアル時期や工事期間を慎重に計画しましょう。施工後のアフターフォロー体制も確認しておくと、万一トラブルが起きた際にもスムーズに対応できます。
外観工事だけでなく、入口・エントランスのレイアウト変更や看板製作、店内の動線設計など、複数の専門領域を横断する場合は、プロジェクト全体を統括できるディレクター的な存在がいると安心です。コストを抑えつつクオリティも妥協しない、そんな改装計画を進めるにはコミュニケーションが欠かせません。結果的に「生まれ変わったお店」にお客様が喜んで入店してくれれば、投資した甲斐があったと感じられるでしょう。