【2025年最新】美容室の開業手順を完全解説!必要な手続きや準備の流れ!

【2025年最新】美容室の開業手順を完全解説!必要な手続きや準備の流れ!
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「いつか自分のお店を持ちたい」

美容師としてキャリアを積む中で、多くの人が一度は抱く夢ではないでしょうか。しかし、その夢を実現するためには、情熱や技術だけでなく、具体的な知識と計画的な準備が不可欠です。

「開業には何から手をつければいい?」「資格はいるの?」「資金は一体いくら必要なんだろう…」

そんな漠然とした不安を、この記事が「実行可能なステップ」へと変える羅針盤になります。私自身、15坪のスケルトン物件から美容室を開業した経験者として、融資の面談で語ったこと、保健所の検査で指摘されたこと、そしてオープン初日にお客様を迎えた感動まで、リアルな体験談を交えながら徹底的に解説します。

この記事を読み終える頃には、あなたの頭の中にある夢のサロンが、確かな輪郭を持って動き出しているはずです。さあ、一緒に夢への第一歩を踏み出しましょう。


目次

第1章 美容室の開業に必須な資格とは?

第1章 美容室の開業に必須な資格とは?

美容室の開業を考えたとき、最初に確認すべきなのが「資格」の問題です。お客様の髪や肌に直接触れる仕事だからこそ、法律で定められたルールがあります。ここでは、開業に絶対不可欠な2つの国家資格について、その役割と取得方法を私の体験談を交えて解説します。

1-1. 美容師免許:施術を行う全てのスタッフに必須

美容室でハサミを握り、お客様に施術を行うためには、国家資格である「美容師免許」が必須です。これは、オーナーであろうと、アシスタントであろうと、施術に携わるスタッフ全員に求められます。

「自分は経営に専念して、施術はスタッフに任せる」という場合、オーナー自身が美容師免許を持っていなくても開業は可能です。しかし、現場で急なヘルプが必要になったり、スタッフの技術指導を行ったりする場面を考えると、オーナー自身も免許を持っていることが経営上の大きな強みとなるでしょう。

1-2. 管理美容師免許:2名以上のサロンで必須となる資格

1-2. 管理美容師免許:2名以上のサロンで必須となる資格

美容師が常時2名以上働くサロンを開業する場合、美容師法に基づき、施設内の衛生管理責任者として「管理美容師」を1名置くことが義務付けられています。オーナー自身が条件を満たして資格を取得するか、資格を持つスタッフを雇用する必要があります。

管理美容師の資格取得要件

  • 美容師免許取得後、3年以上の実務経験があること
  • 都道府県知事が指定する講習会を修了すること

講習会は、公衆衛生や衛生管理に関する法規、施設の衛生管理方法などを学ぶもので、通常3日間の日程で行われます。

管理美容師の講習会

知り合いが管理美容師の資格を取得したのは、開業の約1年前でした。費用は16,000円で、3日間の講習でした。最近ではeラーニング形式を導入する自治体も増えており、より受講しやすくなっています。講習で特に印象に残っているのは、「消毒方法の徹底」です。器具の素材(金属、プラスチックなど)に応じた正しい消毒液の選定と手順を学び、「知っている」と「正しく実践できている」は全く違うと痛感しました。この知識は、後の保健所の立入検査で非常に役立ちましたし、何よりお客様とスタッフの安全を守る基盤となっています。開業を決意したら、まず自身のキャリアを確認し、早めに受講計画を立てることをお勧めします。

【この章のポイント】 
美容室の開業には、施術者全員の「美容師免許」と、スタッフ2名以上のサロンには「管理美容師免許」が法律で定められた必須資格です。開業計画の初期段階で、これらの資格要件を満たしているか必ず確認しましょう。


第2章【費用一覧】美容室の開業資金は総額いくら必要?

第2章【費用一覧】美容室の開業資金は総額いくら必要?

「結局、美容室を開業するのに、お金はいくら必要なの?」これは誰もが抱く最大の疑問でしょう。結論から言うと、店舗の規模や立地、居抜きかスケルトンかによって大きく変動しますが、一般的に800万円~1,500万円程度が一つの目安となります。

開業に必要な資金は、大きく分けて「設備資金」と「運転資金」の2種類です。ここでは、それぞれの具体的な内訳とリアルな費用相場を、私の実例を交えながら徹底解剖していきます。

2-1. 【設備資金】サロンの”ハコ”を作る初期投資の内訳

設備資金とは、物件を契約し、内装工事を行い、営業できる状態にするまでに必要となる初期投資のことです。開業資金の中で最も大きな割合を占める部分であり、一度支払うと戻ってこない「サンクコスト」が多いため、慎重な計画が求められます。

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費目費用相場(10~15坪の場合)概要
物件取得費用100~300万円保証金(家賃の6~10ヶ月分)、礼金、仲介手数料、前家賃など。
内装工事費300~700万円設計デザイン費、内外装工事、電気・ガス・水道工事など。坪単価30~60万円が目安。
美容器具100~250万円スタイリングチェア、シャンプーユニット、促進機、デジタルパーマ機など。
設備50~100万円電話・ネット回線、給湯器、レジ(POSシステム)、空調、看板、洗濯機など。
合計(目安)550~1,350万円

15坪スケルトン物件のリアルな設備資金

15坪のスケルトン物件(内装が何もないコンクリート打ちっぱなしの状態)から開業した際の設備資金は、合計で約980万円でした。特に内装工事費は、当初の見積もりから約50万円オーバー。原因は、給排水管の想定外の移設工事でした。 一方で、物件取得費は交渉でコストダウンに成功しました。家賃18万円の物件で、当初保証金が6ヶ月分の108万円でしたが、オーナー様の人柄や事業計画の熱意を直接お伝えした結果、5ヶ月分の90万円まで減額していただけました。諦めずに交渉してみる価値は十分にあります。

2-2. 【運転資金】開業後、経営を軌道に乗せるための費用の内訳

運転資金とは、サロンをオープンさせた後、経営が軌道に乗るまでの間、支払いを続けるために必要なお金です。売上がなくても家賃や人件費は発生します。資金ショート(現金が尽きること)は廃業の最大の原因であり、最低でも6ヶ月分の運転資金を現金で確保しておくことが、精神的な安定と経営の安定に繋がります。

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費目費用相場(月額/10~15坪の場合)概要
家賃・共益費15~30万円最も大きな固定費。
水道光熱費3~5万円電気、ガス、水道料金。特に美容室は電気・水道の使用量が多い。
通信費1~2万円電話、インターネット、予約システムの利用料など。
広告宣伝費5~20万円集客サイト掲載料(ホットペッパービューティーなど)、SNS広告、チラシなど。
材料費売上の8~10%が目安カラー剤、パーマ液、シャンプー・トリートメントなどの薬剤・店販商品。
人件費スタッフ数によるスタッフの給与、社会保険料の会社負担分など。
その他諸経費3~5万円賠償責任保険、火災保険、雑誌、ドリンクサービス、クレジットカード手数料など。
予備資金(現金)上記合計の2~3割想定外の出費(急な修理など)に備えるための資金。

運転資金を守るには決済コストの最適化が近道です。個人店におすすめなPOSレジはどれ?業種別に特徴や機能を比較して徹底解説!』で相場と選び方を把握しましょう。

【この章のポイント】 
開業資金は「設備資金」と「運転資金」の2つに大別されます。総額だけでなく、それぞれの内訳を正確に把握し、特に売上がなくても経営を維持できる「運転資金」を最低6ヶ月分確保することが、失敗しないための鍵です。


第3章 美容室開業までの流れを7ステップで解説

美容室の開業は、情熱だけで突き進めるものではありません。ゴールから逆算し、やるべきことを着実にクリアしていく計画性が成功を引き寄せます。ここでは、構想からオープンまでのおおよその流れを、私が実際に経験した期間も参考にしながら「7つのステップ」に分けて解説します。このロードマップを参考に、あなた自身の開業計画を立ててみましょう。

3-1. STEP1:構想・計画(開業6ヶ月〜1年前)

全ての始まりは、ここからです。「どんなお客様に、どんな価値を提供し、どんな気持ちになってほしいか」というサロンの核となるコンセプトを徹底的に考え抜きます。このコンセプトが、後の物件選び、内装、メニュー、価格設定、集客方法など、全ての意思決定の基準となります。そして、その想いを具体的な数字に落とし込んだ「事業計画書」を作成します。

3-2. STEP2:資金調達(開業5〜6ヶ月前)

事業計画書が完成したら、次はいよいよ資金調達です。自己資金で全てを賄えれば理想ですが、多くの場合は金融機関からの融資を受けることになります。美容室開業で最もポピュラーなのが、日本政策金融公庫の「新規開業資金」です。事業計画書を携え、担当者との面談に臨みます。

融資面談で担当者は何を見ているか

日本政策金融公庫の担当者は、事業計画の数字の妥当性はもちろんですが、それ以上に「経営者としての情熱と覚悟」を見ています。私が面談で「なぜこの場所で、このコンセプトなのですか?」と問われた際、マインドマップを元に「このエリアには働く女性が多いのに、平日の夜に髪質改善をじっくり相談できるサロンがない。私がその受け皿になりたい」と熱く語ったところ、担当者の方が深く頷いてくれたのを覚えています。

3-3. STEP3:物件探し・契約(開業4〜5ヶ月前)

第2章【費用一覧】美容室の開業資金は総額いくら必要?

融資の目処が立ったら、コンセプトを実現するための店舗物件を探します。立地、広さ、家賃はもちろんですが、美容室の場合は以下の専門的なチェックが不可欠です。

  • 電気容量: 十分なアンペア数があるか(エアコン、ドライヤー、パーマ機など)
  • 給排水設備: シャンプー台の設置場所に給排水管を通せるか
  • 換気設備: カラー剤などの臭いを排出できる十分な換気能力があるか

物件内見時のチェックリスト

内見時、事前に作成したチェックリストを持参しました。「コンセントの数と位置」「床の材質(水に強いか)」「近隣店舗の業種(騒音や臭いのトラブル回避のため)」など、20項目以上をチェック。特に見落としがちなのが「スマホの電波状況」です。お客様が快適に過ごせるか、キャッシュレス決済がスムーズにできるかを確認するため、必ずチェックしましょう。

3-4. STEP4:店舗設計・内装工事(開業2〜4ヶ月前)

物件が決まれば、内装業者と打ち合わせを重ね、サロンのデザインを具体化していきます。動線(スタッフの働きやすさ)、照明(施術のしやすさとリラックス効果)、収納など、デザイン性と機能性の両立が求められます。この段階で、保健所の施設基準を満たしているかを業者としっかり確認しながら進めることが重要です。

3-5. STEP5:行政手続き(開業1〜2ヶ月前)

内装工事の完了が見えてきたら、各種行政手続きを開始します。主に必要なのは以下の3つです。

  • 保健所: 「美容所開設届」を提出し、後日、施設の立入検査を受けます。
  • 消防署: 「防火対象物使用開始届」を提出します。
  • 税務署: 「開業届」と、節税メリットの大きい「青色申告承認申請書」を提出します。

保健所の立入検査

検査当日は緊張しましたが、事前に管理美容師講習で学んだ衛生管理の知識を基に準備したため、スムーズに進行しました。唯一、軽微な指摘を受けたのが「消毒済みタオルと使用済みタオルの保管場所が近い」という点。すぐに棚の位置をずらして対応し、無事「確認証」を交付してもらえました。指摘を恐れるのではなく、安全なサロンを作るためのアドバイスと捉えることが大切です。

3-6. STEP6:設備導入・スタッフ採用・集客準備(開業1ヶ月前)

3-6. STEP6:設備導入・スタッフ採用・集客準備(開業1ヶ月前)

内装工事が完了したら、いよいよサロンに命を吹き込む段階です。美容器具や備品の搬入、スタッフを雇用する場合は採用と研修、そしてオープンに向けた集客活動を本格化させます。

効果絶大だったプレオープン

知り合いの方はグランドオープンの1週間前に、友人や知人、近隣の店舗の方などを招待した「プレオープン」を実施しました。料金は材料費のみの特別価格で提供。「お客様目線での改善点(例:待合の椅子が少し硬い、など)」を教えてもらえただけでなく、彼らがSNSで「近所に素敵なサロンがオープンするよ!」と写真付きで発信してくれたおかげで、オープン初日から予約が5件も入るという最高のスタートを切ることができました。

3-7. STEP7:オープン!

全ての準備を終え、ついに夢に見た自分のサロンがオープンします。しかし、ここがゴールではありません。お客様一人ひとりとの出会いを大切にし、感謝の気持ちを忘れずに最高の技術とサービスを提供していく、新たなスタートの日です。

【この章のポイント】
 美容室開業は、最低でも半年前から計画的に進める長期プロジェクトです。各ステップで「何をすべきか」を明確にし、一つずつ着実にクリアしていくことが、夢の実現への一番の近道です。


第4章 美容室の開業で重要な経営計画・資金戦略とは?

第3章までのロードマップで、開業までの道のりが見えてきたと思います。しかし、計画通りに進めても、思わぬ落とし穴にはまってしまうケースは少なくありません。廃業するサロンの多くは、技術ではなく「経営戦略」でつまずいています。この章では、失敗を回避し、成功の確率を格段に上げるための「計画・資金戦略」の核心に迫ります。

4-1. 成功の羅針盤:「コンセプト」と「事業計画」を徹底的に作り込む

第3章でも触れましたが、全ての土台となるのが「コンセプト」と「事業計画」です。ここが曖昧なまま進むと、必ず後でブレが生じ、サロンは迷走します。

コンセプトとは、単に「お洒落なカフェ風サロン」といった雰囲気のことではありません。「誰に、何を、どのように提供し、どんな未来を約束するのか」という、サロンの存在意義そのものです。ここを徹底的に作り込むことで、価格競争に巻き込まれない、あなただけの価値が生まれます。

コンセプトが曖昧だったサロンの末路

私の知人は「地域で一番安い」を売りにサロンを開業しました。しかし、数ヶ月後にさらに安い競合店が出現。慌てて高級路線に切り替えようとしましたが、既に「安い店」というイメージが定着しており、客層が合わずに客足は遠のきました。結局、開業からわずか2年で閉店。「自分の強みが何だったのか、誰に来てほしかったのか、全く考えられていなかった」と彼は悔やんでいました。コンセプトなき経営は、羅針盤のない航海と同じなのです。

事業計画は、融資を受けるためだけの書類ではありません。そのコンセプトを実現するための「経営の地図」です。定期的に見直し、計画と実績のズレを確認し、軌道修正するための重要なツールとして活用し続けましょう。

4-2. 融資審査を突破する!資金調達を成功させる3つのコツ

開業資金という大きな壁を乗り越えるため、多くの人が金融機関からの融資を利用します。審査を突破し、満額回答を引き出すためには、押さえるべきコツがあります。

十分な自己資金を用意する:

一般的に総投資額の2〜3割の自己資金が目安です。これは単なる資金額だけでなく、「計画的に準備してきた」という姿勢の証明になり、金融機関からの信頼を得る上で極めて重要です。

説得力のある事業計画:

売上予測や返済計画に、客観的な根拠を示しましょう。「頑張ります」ではなく、「客単価8,000円×1日の想定客数5人×営業日数25日=月商100万円」のように、具体的な数字で語ることが重要です。

面談での熱意と誠実さ:

事業への情熱はもちろんですが、リスクについても正直に話せる誠実さが評価されます。「もし計画通りに売上が伸びなかった場合、このような対策を打ちます」と、代替案まで準備しておくと、担当者に安心感を与えられます。

4-3. 初期費用を抑える賢い選択肢:自宅サロンやシェアサロンの可能性

高額なテナント契約だけが開業の道ではありません。特に一人サロンを考えている場合、初期費用と固定費を劇的に抑えられる「自宅サロン」や「シェアサロン(面貸し)」も有力な選択肢です。

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比較項目テナントサロン自宅サロンシェアサロン
初期費用高い(500万~1,500万円)低い(数十万~200万円)ほぼゼロ
固定費(月)高い(家賃・光熱費など)低い(家賃は実質ゼロ)変動費(売上の40~60%など)
集客看板や立地で有利難しい(看板が出せない場合も)難しい(自分自身で集客する必要がある)
プライバシー完全に分離確保が難しい(生活空間との境界)他の美容師と共有
自由度高い(内装・営業時間を自由に決められる)制限あり(マンション規約、家族への配慮)制限あり(利用規約、利用できる時間)

シェアサロンを利用するフリーランス美容師

「私は都内のシェアサロンを拠点にしています。売上の50%が利用料ですが、家賃や光熱費、材料費の心配が一切ないのが魅力。集客はInstagram経由が100%で、今は月収50万円前後で安定しています。何より、好きな時間に働けるので、子育てとの両立ができています」(30代・女性フリーランス美容師)

自宅サロンはプライバシーの確保、シェアサロンは集客力の確立が課題となりますが、自分のライフスタイルや目指す働き方に合致すれば、非常に賢い選択と言えるでしょう。

【この章のポイント】 
失敗しないためには、ブレない「コンセプト」という羅針盤と、現実的な「事業計画」という地図が不可欠です。資金調達では熱意と論理の両面からアピールし、固定観念に縛られず自宅サロンなどの選択肢も検討することが成功への近道です。


第5章 開業に欠かせない物件探しと内装作りのコツ!

計画と資金の準備が整ったら、次はいよいよ「理想の城」である店舗づくりです。しかし、この段階にも多くの落とし穴が潜んでいます。一度決めたら後戻りできない物件契約、予算を簡単にオーバーしてしまう内装工事。ここでは、後悔しない店舗づくりのための戦略的ポイントを解説します。

5-1. 物件探しは妥協するな!契約前に確認すべきチェックポイント

物件は、サロンの「顔」であり「心臓部」です。家賃や広さだけで安易に決めると、後々営業に支障をきたすことになりかねません。特に以下の点は、契約前に必ず、しつこいほど確認しましょう。

  • インフラの容量: ドライヤーやパーマ機を同時に使っても落ちない電気容量、シャンプー台を複数設置できる給排水能力は絶対条件です。
  • 看板・外観の規定: 看板の設置場所やデザインに制限はないか。外観の変更はどこまで許されるか。集客に直結する部分なので、管理会社やオーナーに細かく確認が必要です。
  • 騒音・臭い・ゴミ出し: 上下左右のテナントはどんな業種か。音や臭いでトラブルになる可能性はないか。事業ゴミの回収ルールや費用も事前に確認しましょう。
  • 契約内容の精査: 退去時の原状回復義務の範囲は必ず確認してください。「スケルトン返し(借りた時と同じ何もない状態に戻す)」が条件の場合、解体費用で数百万かかるケースもあります。

不動産屋との付き合い方

物件探しで5社以上の不動産屋を回りました。そこで気づいたのは、「美容室開業に理解のある担当者」を見つける重要性です。彼らは専門的な設備要件を把握しており、オーナー側の視点に立った物件を紹介してくれます。良い担当者を見つけるコツは、「以前、美容室の仲介をした経験はありますか?」と最初に質問すること。ここで具体的な事例を話せる担当者は信頼できます。

5-2. 理想と予算を両立させる内装工事と設備導入の秘訣

内装は、サロンのコンセプトを表現する最も重要な要素。しかし、こだわり過ぎると予算はあっという間に膨れ上がります。理想と予算を両立させる鍵は、「コスト配分のメリハリ」です。

  • 投資すべき部分: お客様が長く滞在し、直接触れる場所(シャンプー台、セット椅子、待合スペース)、サロンの顔となるファサード(入口の外観)
  • コストを削れる部分: スタッフルーム、バックヤードの収納、お客様の目に見えない部分の建材

設備導入においても、全てを新品で揃える必要はありません。中古品やリースを賢く活用することで、初期投資を大幅に削減できます。

【この章のポイント】 
店舗づくりは、後戻りできない決断の連続です。物件探しでは専門的なインフラ要件と契約内容を徹底的に確認し、内装・設備では「お客様の満足度」を基準にコストのメリハリをつけることが、後悔しないための鉄則です。


第6章 開業後に成功し続ける美容室になるための経営術

第6章 開業後に成功し続ける美容室になるための経営術

無事にオープンを迎えたら、いよいよ経営者としての本当の戦いが始まります。開店当初の「オープン景気」は長くは続きません。お客様に継続的に選ばれ、利益を出し続けるための「仕組み」をいかに早く構築できるかが、長期的な成功の鍵を握ります。

6-1. 新規集客とリピート化:お客様に選ばれ続けるサロンの仕組みづくり

サロン経営は、新規集客とリピート化の両輪で成り立っています。特に重要なのが、一度ご来店いただいたお客様に、いかにして「また来たい」と思っていただくか、というリピート戦略です。なぜなら、一般的に新規顧客の獲得コストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われているからです³。

感動を生むリピート戦略のステップ

  • 徹底したカウンセリング: お客様の悩みや理想をただ「聞く」だけでなく、その背景にある想いまで「傾聴」し、共感する。
  • プロとしての価値提案: お客様の希望を叶えつつ、髪質や骨格に基づいたプロの視点から「もっと素敵になるための+α」を提案する。
  • 感動の仕上がりと共有: 施術後の変化に感動していただき、自宅での再現方法やケア方法を丁寧にレクチャーする。
  • 心に残るアフターフォロー: 次回予約の提案や、数日後に「その後の髪の調子はいかがですか?」というお伺いメッセージを送る。

リピート率90%を支えるカウンセリング

あるサロンでは、新規のお客様のカウンセリングに最低でも20分かけます。そこで必ず聞くのが「今までで一番しっくりきた髪型と、一番嫌だった髪型は何ですか?」という質問。これにより、お客様の価値観や「なりたい姿」の解像度が格段に上がります。この丁寧なカウンセリングが信頼に繋がり、開業2年目以降のリピート率は常に90%以上を維持しています。技術以前に、お客様を深く理解しようとする姿勢が、リピートの最強の武器になるのです。

6-2. 資金ショートを防ぐ!美容室経営者のためのキャッシュフロー管理

「技術には自信があったのに、気づいたらお金がなくなっていた」これは廃業するサロンの典型的なパターンです。いわゆる「どんぶり勘定」は、経営者として最も避けなければならない行為です。

難しい会計知識は必要ありません。まずは会計ソフト(マネーフォワード クラウド、freeeなど)を導入し、最低でも以下の3つの数字を毎月チェックする習慣をつけましょう。

  • 売上: いくら稼いだか
  • 経費: いくら使ったか
  • 利益(キャッシュ): いくら手元に残ったか

そして、自分のサロンの「損益分岐点売上(利益がゼロになる売上高)」を把握することが極めて重要です。

損益分岐点売上=固定費(1−変動費売上高)損益分岐点売上=(1−売上高変動費)固定費

固定費:

家賃、人件費、広告費など、売上に関わらず発生する費用

変動費:

材料費など、売上に比例して増減する費用

この計算が難しければ、「毎月の固定費の合計額」を把握し、「それを支払うためには、最低でもいくら売上が必要なのか」を考えるだけでも構いません。

会計ソフトが教えてくれた経営危機

開業半年後、売上は順調に伸びているのに、なぜか銀行口座の残高が増えない時期がありました。会計ソフトで経費の内訳を確認したところ、材料費の比率が想定の10%を大きく超え、18%に達していたことが判明。原因は、高価なトリートメント剤の過剰在庫でした。すぐに在庫管理方法を見直し、発注単位を細かくしたことで、材料費率は11%まで改善。キャッシュフローも正常化しました。数字は嘘をつきません。感覚ではなく、データに基づいて経営判断をする習慣が救ってくれたのです。

【この章のポイント】 
開業後の成功は「リピートの仕組み化」と「キャッシュフロー管理」にかかっています。お客様一人ひとりと深く向き合ってファンを増やし、同時にサロンのお金の流れを正確に把握する。この両輪を回し続けることが、繁盛サロンへの王道です。


第7章 さあ、理想の美容室開業を叶えてみよう!

美容室開業を成功に導くための最終チェックリスト

これまで解説してきた内容を、開業までのタスクとして時系列でリストアップしました。まずはこのリストを眺め、「今の自分はどの段階にいるのか」「次に何をすべきか」を明確にしましょう。スマートフォンのメモ帳にコピーしたり、印刷して壁に貼ったりして、常に進捗を確認できるように活用してください。

【美容室開業ロードマップ:最終チェックリスト】

STEP
□ 準備・情報収集
  •  美容師免許・管理美容師免許の要件を確認したか?
  •  開業に関する書籍やWebサイトで情報収集を始めたか?
  •  成功しているサロンのオーナーに話を聞きに行ったか?
STEP
□ 構想・計画(開業6ヶ月~1年前)
  •  サロンのコンセプト(誰に、何を、どのように)を言語化したか?
  •  事業計画書(売上予測、資金計画)を作成したか?
  •  自己資金は総投資額の2~3割を目標に貯めているか?
STEP
□ 資金調達・物件探し(開業4~6ヶ月前)
  •  日本政策金融公庫などの融資相談を予約したか?
  •  事業計画書を基に融資の申し込みを行ったか?
  •  コンセプトに合ったエリアで物件探しを開始したか?
  •  美容室開業に強い不動産業者を見つけたか?
STEP
□ 契約・設計・工事(開業2~4ヶ月前)
  •  物件のインフラ(電気・給排水)と契約内容を精査し、契約したか?
  •  内装業者を選定し、設計・デザインを確定させたか?
  •  工事のスケジュールと予算を確定させたか?
STEP
□ 各種手続き・準備(開業1~2ヶ月前)
  •  保健所・消防署・税務署への届出書類を準備したか?
  •  美容器具・設備の選定と発注を終えたか?
  •  集客サイト(ホットペッパービューティーなど)の契約とページ作成を行ったか?
  •  SNSアカウントを開設し、オープン告知を開始したか?
  •  スタッフの採用・研修を開始したか?(必要な場合)
  •  プレオープンを計画したか?
STEP
□ 最終準備~オープン
  •  保健所の立入検査を受け、確認証を受領したか?
  •  設備・備品を搬入し、最終的なレイアウトを決定したか?
  •  材料を発注し、在庫を確保したか?
  •  予約システムを稼働させたか?

このチェックリストを見て、「やることが多すぎる…」と圧倒されたかもしれません。私もそうでした。しかし、大切なのは一度に全てをやろうとしないことです。今週は「コンセプトを紙に書き出す」、来週は「日本政策金融公庫のサイトを見る」。そんな小さなタスクの積み重ねが、気づけば大きな推進力となり、あなたを夢の場所へと運んでくれます。

誰かのサロンで働く美容師から、自分の城を構える経営者へ。その変化は、計り知れないほどの責任とプレッシャーを伴います。しかし、自分の理想とする空間で、信じる技術とサービスをお客様に提供し、「ありがとう」と心からの笑顔をいただけた時の喜びは、何物にも代えがたいものです。

あなたの情熱と技術、そしてこの記事で得た知識があれば、必ず道は開けます。恐れずに、しかし慎重に、あなただけの一歩を踏み出してください。心から応援しています。

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この記事を書いた人

鵜飼 あきひろのアバター 鵜飼 あきひろ 株式会社Grill 取締役/店舗経営・集客コンサルタント

2014年にオイシックス株式会社で海外事業を担当後、香港・中国現地法人の社長に就任。
2017年に起業した株式会社Emooveでは代表として事業を成長させ売却・EXIT。
現在は株式会社Grillの取締役COOとして複数の飲食店舗を経営する傍ら、現場目線で成果の出る集客支援に取り組んでいる。
豊富な実践経験と経営視点を活かし、小さなお店の“ファンづくり”をサポートするのが信条。

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